モザイクの魔術師 5中編3☆
「ガサツですねぇ」
米をといでる横から、メジロさんの呆れたような声が飛んできた。目の届くところにいてくれるのは助かるが、小姑の真似をしろとは頼んでない。
「そんな力任せにお米をといだら割れちゃいますよ」
「悪りぃな、米のセットなんて久しぶりなもんで」
いつもなら、かりんの仕事だ。
だが今日、こんな時に二階から引きずり下ろしてやらせるようなことでもない。たぶん本人も忘れているだろう。それでいい。
「今も銘柄はキララですか? 最近の新品種に鞍替えしないんですね」
「海猫支部長が、新しいのは美味すぎてあわねぇってよ」
「?」
「イカの旨さが霞むってさ」
隣で、ウシガエルがスキップしながら鳴いてるような低音が響いた。ご機嫌で何よりだ。
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