またお別れね、次の世界でまた会えるから思い出すのは、夢の残骸からできた腐乱死体だった。
生成されてしまった哀しき化け物(親)に子供は拒否権を持たない。
叶えられなかった、そうして押し付けられた夢は色味を失ったままで色濃く悪臭を残していた。
「さざなみ」
「…………」
「ぼくにいばらから連絡が来ました。大丈夫そうなら大丈夫と返してください、と書いてありました」
「…………あ、ああ、だいじょ」
オレは扉ごしに会話をしている。便器と部屋を分けるための茶色い狭いドア。狭い、閉じこもった密室から、外にいる要の声を聞いている。
蒸し暑いのか空気が湿っているわりに、身体の震えは止まらず、ずっと寒いままだった。
力の抜けた身体は、モノが落ちるように、ぐったりと便座のふたに落ちていた。
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