見世物小屋の怪物「え…っと……。それ本当ですか?」
「嘘は言うとらんですけ」
メガネをかけ額に傷のあるでんでん虫が困っている。電話の向こうはコビーだ。潜入任務中のひばりから突如電話がかかってきたから何か進展があったとは思っていたが、まさかアラマキと手を組んだというのは彼にとって寝耳に水であった。
「…虐められたりしてませんか?」
「?しちょらんです」
「そうですか…良かった…」
コビーはアラマキを知っている。あの男と初めて会った時突然、「お前メガネかけてんの?じゃあ、頭いいな」と拉致られ「な、何だろう…!?」と荷物のように持ち運ばれた先は元帥室だった。ポイッと捨てる様に置かれたコビーは怒れるサカズキ元帥を前に滝汗をかく脳みそをフル回転させ、アラマキにSOSを求めたが、彼はしらーっとした顔で「この間の軍艦破壊の件だが、言い訳を持ってきたから聞いてくれよ」と丸投げしたのだ。
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