蜂須賀
DONESweetHome ジェホサンです。五日月 痛みには強い。
そう言ったら、そうでしょうね、と呟いたきりあいつは黙ってしまった。
仕事で廃材を抱えた時にその端部で二の腕の内側を裂いた。仕事柄こんな傷は数に入らないものだし、半袖で現場に入っていた俺に落ち度がある。その程度の知識は持つようになったあいつにそれを咎められるのも面倒に思い、簡単な止血を施し、血で染まったTシャツは捨てて着替えて帰宅した。
だが、先に食事を済ませていたあいつに出された夕飯を喰っている間に、袖口に滲んだ血を見つけられてしまった。怪我をしたんですか? という声を俺は億劫に感じたから、さして痛くない、そういう意味で言ったのだ。
黙りこんだままだったあいつは、消毒薬と俺用に常備されている大きな絆創膏を取りに行きテーブルに置くと、なにも言わずにリビングを出ていってしまった。感じた動揺で手当を期待した自分に気づく。きっと大騒ぎするだろうと思っていた。大丈夫だ、たいしたことはない、そうやってあいつを宥めているうちに、本当になんでもないことのように自分でも思えてくるはずだった。
2000そう言ったら、そうでしょうね、と呟いたきりあいつは黙ってしまった。
仕事で廃材を抱えた時にその端部で二の腕の内側を裂いた。仕事柄こんな傷は数に入らないものだし、半袖で現場に入っていた俺に落ち度がある。その程度の知識は持つようになったあいつにそれを咎められるのも面倒に思い、簡単な止血を施し、血で染まったTシャツは捨てて着替えて帰宅した。
だが、先に食事を済ませていたあいつに出された夕飯を喰っている間に、袖口に滲んだ血を見つけられてしまった。怪我をしたんですか? という声を俺は億劫に感じたから、さして痛くない、そういう意味で言ったのだ。
黙りこんだままだったあいつは、消毒薬と俺用に常備されている大きな絆創膏を取りに行きテーブルに置くと、なにも言わずにリビングを出ていってしまった。感じた動揺で手当を期待した自分に気づく。きっと大騒ぎするだろうと思っていた。大丈夫だ、たいしたことはない、そうやってあいつを宥めているうちに、本当になんでもないことのように自分でも思えてくるはずだった。
蜂須賀
DOODLESweetHome チョンさんとピョンさんのショートコント2です。 左右なしです。サンウクちゃん寝相悪かったらかわいいなって。
ジェホン先生、蹴られてもアッパーカットされても怒らない。 440
ninosukebee
REHABILIオリオン座流星群に寄せて流星の夜 きん、ぽちゃ、からん。ころ。
風も騒がぬ静かな夜に、いたく華やかな音を聞いた気がして、ジェホンはそっと目を開いた。薄目で引き寄せ確かめる置時計は、だいだい色の影に午前2時前を示す。56、57、58——、デジタルのカウントを眺めながら眠りの淵に落ちかけたとき、またぽちゃん、から。と鼓膜を揺らした音は、居間の方からするようだった。今夜はそこのソファを宿りにする人が、なにかしているらしい。ああそろそろ彼のためのちゃんとした寝床を用意すべきか、あの人はあそこを気に入って使っているようではあるが——。
そこまでうつらうつら考えて、きん、ぴちゃ、ころん、いよいよ居間の様子が気になったジェホンはのそりとベッドを起き上がった。エアコンを入れるほどではないが、夜中になるともう家中めっきり寒くなる。寝起きの身体はわずか火照っていたが、すこし迷って、まだ片付けていなかった夏用のタオルケットを手にした。彼はちゃんと暖かくしているだろうか。薄っぺらい布を肩に羽織ってのろのろと廊下を歩く。タオルケットよりもポソンの方が必要だなと思っても、用意はまだどこにもなかった。居間の扉の手前、音は変わらずきらりぴちゃころ耳を騒がせている。
2074風も騒がぬ静かな夜に、いたく華やかな音を聞いた気がして、ジェホンはそっと目を開いた。薄目で引き寄せ確かめる置時計は、だいだい色の影に午前2時前を示す。56、57、58——、デジタルのカウントを眺めながら眠りの淵に落ちかけたとき、またぽちゃん、から。と鼓膜を揺らした音は、居間の方からするようだった。今夜はそこのソファを宿りにする人が、なにかしているらしい。ああそろそろ彼のためのちゃんとした寝床を用意すべきか、あの人はあそこを気に入って使っているようではあるが——。
そこまでうつらうつら考えて、きん、ぴちゃ、ころん、いよいよ居間の様子が気になったジェホンはのそりとベッドを起き上がった。エアコンを入れるほどではないが、夜中になるともう家中めっきり寒くなる。寝起きの身体はわずか火照っていたが、すこし迷って、まだ片付けていなかった夏用のタオルケットを手にした。彼はちゃんと暖かくしているだろうか。薄っぺらい布を肩に羽織ってのろのろと廊下を歩く。タオルケットよりもポソンの方が必要だなと思っても、用意はまだどこにもなかった。居間の扉の手前、音は変わらずきらりぴちゃころ耳を騒がせている。
s_lovelyfive
DONE今年のはじめの猫の日にツイッターに進行しながら投稿していたAU小説をレスキューして少しだけ文章を足しました。あたらしくSHに入居された方のおやつになれば。左右どちらでもお好きなほうで!
ジェホン先生とサンウクさんが一緒にいてほしいだけのおたくより。 14
00HHMM
DOODLE8.1話のサンウクさん妄想静寂 ヒョンスは、間に合っただろうか。
目覚めてまず頭に浮かんだのはそのことだった。固い床の上に変な体勢で気を失っていたせいで、体の節々に違和感があった。下敷きになっていた左半身はすっかり痺れてしまっていて、起き上がるのに多少苦労した。立ち上がる前に壁へ背を預けて深い呼吸を繰り返し、覚醒しきっていない意識を揺り起こす。夜になり、窓から日が差してこない分、廊下の隅でぱちぱちと燃える火の明るさが目についた。
夢を見ていた気がする。あるいはなにかを思い出していたような。
ゆっくりと立ち上がり、足元に残っていた怪物の腕を拾い上げて火へくべる。そのおり確かめてみれば、本体の方は火の中でしっかり炭になっているようだった。手頃な鉄パイプに引っ掛けて腕を千切り、力一杯首をひねって締め落としたあと、復活する前に火種を見つけたのは幸いだった。それでどうにか始末はつけたが、何度か頭や顎に拳を喰らったのが原因だろう、廊下を出る前にぐらりと目眩がして、……こうして、いまだ。
3418目覚めてまず頭に浮かんだのはそのことだった。固い床の上に変な体勢で気を失っていたせいで、体の節々に違和感があった。下敷きになっていた左半身はすっかり痺れてしまっていて、起き上がるのに多少苦労した。立ち上がる前に壁へ背を預けて深い呼吸を繰り返し、覚醒しきっていない意識を揺り起こす。夜になり、窓から日が差してこない分、廊下の隅でぱちぱちと燃える火の明るさが目についた。
夢を見ていた気がする。あるいはなにかを思い出していたような。
ゆっくりと立ち上がり、足元に残っていた怪物の腕を拾い上げて火へくべる。そのおり確かめてみれば、本体の方は火の中でしっかり炭になっているようだった。手頃な鉄パイプに引っ掛けて腕を千切り、力一杯首をひねって締め落としたあと、復活する前に火種を見つけたのは幸いだった。それでどうにか始末はつけたが、何度か頭や顎に拳を喰らったのが原因だろう、廊下を出る前にぐらりと目眩がして、……こうして、いまだ。
00HHMM
MOURNING超広義の同棲AU開けてはいけない扉の話 この扉は開けてはいけない。
玄関を上がり部屋の案内を始めた管理人は、サンウクにまずそう言った。リビングにつながる廊下の途中にある扉のことだった。一見して目立つところはなく、サンウクは頷きながらも疑問に思った。なにがあるのか、なぜいけないのか、詳しい説明はなにもなく、ただその一言だけだった。
リビング、寝室、キッチン、バス、トイレ、一通りが揃った部屋だった。一人暮らしにはいささか広すぎ、サンウクはそこで一瞬迷ったが、郊外のワンルームの三分の一の家賃という馬鹿げた安さが決め手になった。
「あの扉を開けるとどうなる」
立地はまあまあ、見たところ中は小綺麗にしてあり、陽当たりも悪くはない。値段の理由になりそうなものはあの扉のほかに見当たらなかった。よほどの〈いわく〉なのだろうと思い、半分は警戒、半分は興味からサンウクは尋ねた。
2541玄関を上がり部屋の案内を始めた管理人は、サンウクにまずそう言った。リビングにつながる廊下の途中にある扉のことだった。一見して目立つところはなく、サンウクは頷きながらも疑問に思った。なにがあるのか、なぜいけないのか、詳しい説明はなにもなく、ただその一言だけだった。
リビング、寝室、キッチン、バス、トイレ、一通りが揃った部屋だった。一人暮らしにはいささか広すぎ、サンウクはそこで一瞬迷ったが、郊外のワンルームの三分の一の家賃という馬鹿げた安さが決め手になった。
「あの扉を開けるとどうなる」
立地はまあまあ、見たところ中は小綺麗にしてあり、陽当たりも悪くはない。値段の理由になりそうなものはあの扉のほかに見当たらなかった。よほどの〈いわく〉なのだろうと思い、半分は警戒、半分は興味からサンウクは尋ねた。
s_lovelyfive
DONEややサンジェホ寄りの先生とヤクザさん。温泉っていいですよね、とお話していたら衝動に駆られました。
(ただしプロローグが本題)(力尽きた模様)
tonさんありがとうございます。 7