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INFO土井利エア新刊(R-18)『優秀すぎにも程がある』
土井が5年の色の講師を受け持った...という噂を聞いた利吉はいてもたってもいられず...。土井利ギャグエロ本全30P!
※そんな本は出ません
※いや、いつか出るかも
さかえ
DOODLEいずれ土井利になる話(「春iやiむiかiしiの」)、第二話「夏のこと」です。もう少し加筆したらしぶにあげる予定。以下、ご注意ください。
・利くんに女性経験がある描写がほんの少しだけあります。
・モブ同士のからみが一瞬だけあります。 17598
さかえ
MAIKINGいずれ土井利になる話(「春やむかしの」)の続きです。まだ土井利にならない。いずれ土井利になる話(「春やむかしの」)の続き 初めて会った大川平次渦正は、誠、つかみどころのない人物であった。
「さて、ワシがこれからお頼み致しますのは、決してその名に宛てた仕事ではない……そこは分かっておられますな?」
大川は目尻を下げて利吉を歓待した後で、さらりとそんなことを言った。やられた、と利吉は即座に思った。先手を打たれるとはまさしくこのことであった。これがいくさばでの邂逅であったなら、今頃自分は心臓を一突きにされていたことだろう。それほど、大川の目は鋭かった。鋭く、正しく、しかも何気なく、大川は利吉が最も気にしていたところを――いわば一番の弱みを見事に射当てて見せた。そのことに背筋がざっと粟立つのを感じながら、利吉は一方で「なるほど」と納得してもいた。家にいた頃、学園長の話になるたびに父が「あの方は食わせ者だ。虚だと思えば実にして、実だと思えば虚にしてみせる」と評していた理由がわかったからだ。
5191「さて、ワシがこれからお頼み致しますのは、決してその名に宛てた仕事ではない……そこは分かっておられますな?」
大川は目尻を下げて利吉を歓待した後で、さらりとそんなことを言った。やられた、と利吉は即座に思った。先手を打たれるとはまさしくこのことであった。これがいくさばでの邂逅であったなら、今頃自分は心臓を一突きにされていたことだろう。それほど、大川の目は鋭かった。鋭く、正しく、しかも何気なく、大川は利吉が最も気にしていたところを――いわば一番の弱みを見事に射当てて見せた。そのことに背筋がざっと粟立つのを感じながら、利吉は一方で「なるほど」と納得してもいた。家にいた頃、学園長の話になるたびに父が「あの方は食わせ者だ。虚だと思えば実にして、実だと思えば虚にしてみせる」と評していた理由がわかったからだ。
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MEMO土井利のらくがきネタ。取材と称して、色々なシチュに挑戦するふたりって良いじゃないですか…⁈っていうことで。(先程のはページ順間違えてたので上げ直し)
いつか最後までちゃんと描きたいな〜。 6
さかえ
DOODLEいずれ土井利になる話(しぶでは「春やむかしの」というタイトルで投稿しています)の続き。いずれ土井利になる話 続き フリーの忍者としての出だしは、それなりに上々であるように思う。既に幾つかの城からの依頼をそつなくこなし、ある城主からは城付きにならぬかと誘われたほどである。それをありがたく思いながらも断ったのは――気難しい性格の利吉には、フリーのほうが何かと都合がよかったというのもあるが――このままどこか一つの勢力についてしまうのがまだ勿体なく感ぜられたからだった。
元々人より抜きん出て優れて生まれた利吉は、世の中に出てみて、それが疑いようのない事実であることをいよいよ確信していた。自分ならばなんでもできる。少しも気負うことなく、そんなことを思う。利吉はもう、人里離れた小さな家で誰かの帰りを待つばかりの子どもではない。のびやかな手足でどこへだって行けるのだ。
2327元々人より抜きん出て優れて生まれた利吉は、世の中に出てみて、それが疑いようのない事実であることをいよいよ確信していた。自分ならばなんでもできる。少しも気負うことなく、そんなことを思う。利吉はもう、人里離れた小さな家で誰かの帰りを待つばかりの子どもではない。のびやかな手足でどこへだって行けるのだ。
さかえ
DOODLEぽいぴくでは「いずれ土井利になる話」として上げていた文章の続きです。今回は利くん視点で、くっつくところまで。まだまだ途中で、利くんも無自覚です。ラストの一文は閑吟集から「あまり言葉のかけたさに」です。
春やむかしの 続き夏のこと
目を閉じるのは聴覚を研ぎ澄ませるためだ。風の中、水音の中、鳥たちの鳴き交わす中に、利吉は注意深くその音を探す。枝を払い、草を踏み分けゆく足の、こちらへと向かうその音が何人分なのかを、ほとんど祈るような気持ちで探る。
――目を開けたのは、だから、祈ることをやめたということである。利吉はあぐらを解いて座り直すと、姿勢を正した。
「ただいま帰ったぞ」
戸が開く。思った通りに父が立っている。その向こうに人の姿を無意識のうちに探してしまう自分に気がついて、利吉は思わず苦笑した。先ほど祈るのはやめたばかりのはずなのに、それでも捨てきれないこの慕情は、なんと青臭く、悲しく、惨めったらしいことだろう。年ばかり重ねたところで、自分は結局十二のあの頃からまるで変わってやいないのだと、こんなところで自覚することになるとは。
3740目を閉じるのは聴覚を研ぎ澄ませるためだ。風の中、水音の中、鳥たちの鳴き交わす中に、利吉は注意深くその音を探す。枝を払い、草を踏み分けゆく足の、こちらへと向かうその音が何人分なのかを、ほとんど祈るような気持ちで探る。
――目を開けたのは、だから、祈ることをやめたということである。利吉はあぐらを解いて座り直すと、姿勢を正した。
「ただいま帰ったぞ」
戸が開く。思った通りに父が立っている。その向こうに人の姿を無意識のうちに探してしまう自分に気がついて、利吉は思わず苦笑した。先ほど祈るのはやめたばかりのはずなのに、それでも捨てきれないこの慕情は、なんと青臭く、悲しく、惨めったらしいことだろう。年ばかり重ねたところで、自分は結局十二のあの頃からまるで変わってやいないのだと、こんなところで自覚することになるとは。
さかえ
MAIKINGいずれ土井利になる話1の続き。若土と子利が交流を深めるの段。この時点ではまだ土利ではありません。土Tの過去に触れる箇所があります。苦手な方はご注意ください。
いずれ土井利になる話2 いっこうに心を開く様子を見せぬ少年は、それでもたびたび土井のもとを訪れては(非常に不本意であるという表情をしながら、だが)何くれとなく世話を焼いた。そうして夜になると人が寝静まった頃を見計らって、そっと土井の懐にすべりこむのだった。そのたびに土井は利吉にその理由を尋ねたい気持ちに駆られたが、訊いたところで素直に答えてくれる相手では無し。気になりつつも問うことはできないまま、蓮の浮葉が水の上でついたり離れたりするような距離感で、二人の日々はゆっくりと過ぎていった。
転機はほんの小さなものだった。
ある時、利吉少年がいつものごとく病床を訪れて一通りのことを片付けた後、土井が横たわるふとんの傍で兵法書を読み出したことがあった。土井には聞こえないようにしているつもりなのだろうが、時折漏れる呟きの中に、耳に馴染んだ語句がいくつもあった。懐かしい、と笑みながら、土井はふとんに横たわったままひそかにそれに聴き入る。土井も幼いころは素読といって、訳も分からず読めと言われるままにとにかく口ずさんでいたものだった。それがいつか家のためになるのだと言われて――訳が分かるようになったのは、全てが手遅れになった後だったけれど。
3517転機はほんの小さなものだった。
ある時、利吉少年がいつものごとく病床を訪れて一通りのことを片付けた後、土井が横たわるふとんの傍で兵法書を読み出したことがあった。土井には聞こえないようにしているつもりなのだろうが、時折漏れる呟きの中に、耳に馴染んだ語句がいくつもあった。懐かしい、と笑みながら、土井はふとんに横たわったままひそかにそれに聴き入る。土井も幼いころは素読といって、訳も分からず読めと言われるままにとにかく口ずさんでいたものだった。それがいつか家のためになるのだと言われて――訳が分かるようになったのは、全てが手遅れになった後だったけれど。
さかえ
MAIKING脳内CP観を整理するための土井利なれそめ 途中までいずれ土井利になる話1 その夢の中で、土井はいつも暗闇の中を走っていた。
闇はいくつもその手を伸ばし、土井が必死で抱えているものを容易く奪い去っていく。見る間に家が、土地が、人が奪われ、そうして母が奪われ、父が奪われていった。手の内がものすごい早さで軽くなっていく。闇はそれだけで飽き足らず、土井の心の中へまで手を伸ばした。優しい日々の思い出を、誰かにすがりたがる甘さを、正しさを信じる心を丁寧にこそげ取っては、代わりに鉛玉を詰め込んでいく。とうとう土井の胸は墨にでも落としたように黒々と重く染まりきってしまった。
そうしてふと気づく。
向かっているのは破滅だ。
このまま走り続けて行けば、辿り着くのは不毛の世界だ。自分も人も闇雲に傷つけてはぐちゃぐちゃになって堕ちていく。そんな未来しかない。
2837闇はいくつもその手を伸ばし、土井が必死で抱えているものを容易く奪い去っていく。見る間に家が、土地が、人が奪われ、そうして母が奪われ、父が奪われていった。手の内がものすごい早さで軽くなっていく。闇はそれだけで飽き足らず、土井の心の中へまで手を伸ばした。優しい日々の思い出を、誰かにすがりたがる甘さを、正しさを信じる心を丁寧にこそげ取っては、代わりに鉛玉を詰め込んでいく。とうとう土井の胸は墨にでも落としたように黒々と重く染まりきってしまった。
そうしてふと気づく。
向かっているのは破滅だ。
このまま走り続けて行けば、辿り着くのは不毛の世界だ。自分も人も闇雲に傷つけてはぐちゃぐちゃになって堕ちていく。そんな未来しかない。