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    #SS

    あかぎ(利便事屋のすがた)

    DONE久方ぶりの小説です。夏休み前に急に思い立って書いたのはいいけど、最初の下書きから状況やら心理やらの描写の追加及びリテイクですっかり遅れてしまいましたがようやく完成しました。
    ちなみに時系列的にはこのマンガ
    https://seiga.nicovideo.jp/watch/mg579856 (全12話)
    の後日談です
     ミ~ンミンミンミン‥
     暦の上ではとうに立秋を過ぎてはいるものの、日本の気候は未だ猛暑の空気が漂っている。それは今、オーサム・ワンとシュンのSPトリオが滞在しているこの地でも変わらなかった。
     ここは都心にある小さな墓地。シュンの亡き母、シオリが眠りし地でもある。カザミ一族所有の墓もある事にはあるのだが、周囲の反対を押し切ってイチローと結婚した彼女の事を今なおも快く思わない者もいるためか、最終的には彼が私財を使ってここに建てたのだった。う~ん、金持ちの家系ってつくづく面倒くさい。
     シュンも数年前に自分がロスヴォルモスに赴くまでは日々、社長業で多忙を極める父に代わり、お盆と命日の度にトシと一緒に墓参りによく来ていたのだが、父も父でこっそりと花束だけは添えていくようで、二人がここに来た時には既に花束が添えられていた事が何度かあったものの、愛する妻を亡くしたトラウマを掘り起こすようでそれ以上は言及できなかったのだ。
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    雪ノ下

    MEMO2021.12.14『Kalanchoe』再録

    クロノについてアカネとマシロが考える。花言葉ネタ

    Main:AKANE・MASHIRO
    『Kalanchoe』時任黒乃は、日暮茜にとって"不変の象徴"のような存在だと思う。


    「コンニチハー」


    久方ぶりのオフ、特に理由なく気まぐれにアカネ・クロノ宅の戸を叩いた。雑談ついでに昼食をご馳走になれたらラッキー程度の気持ちだ。
    日に日にこのマンションに入り浸る率が高まっている自覚はあるが、時間ができるとつい足が向いてしまう。まぁ他でもない家主の片割れから"いつでもメシ食いに来いよ"と許可は得ていることだし、嫌な顔をされない限りは甘えさせてもらおうと思っている。


    「ようマシロ」

    「……おっと」

    「なんだよ。出迎えが俺じゃ不満?」

    「まさか」


    インターホンを押すと応答したのはアカネだった。部屋に上がっても見当たらないもう一人はどこに行ったのかと尋ねると、午前中から買い出しに出掛けたという。現在デスクワークの真っ最中で暫く相手ができそうにないと眉を寄せるアカネに気にするなと手を振って、買っておいた酒とつまみを冷蔵庫にしまい込んだ。無意味に時間を浪費するのは嫌いだが、この家は居心地がいいから特別苦にならない。アカネが仕事を終えるかクロノが帰宅するまで適当に時間を潰せばいいだけだ。
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