井浦慶は王城正人に執着されたい 僕のお願いを続けて聞いてもらったから、今度は慶の番だ。
一旦休憩しようということで、ベッド脇に二人で腰掛ける。慶はしばらく考え込んでいたけれど、試してみたいことがある、と両手を僕の方に差し出してきた。
「…手首強めに握ってみてくれ」
「えっ、そんなことでいいの?どこがえっ「いいからやってみろって!ほら」
ワケを聞きたかったけど、両手を差し出されて少し納得する。拘束してほしいってことなのかな。
それならと両手をまとめてぎゅっと握りしめる。でも扉上に掲げられたカウンターは減らない。僕の時は無意識のお願いでもすぐにカウントダウンしたのに。
「もしかして握り方とか違う?弱い?」
「いや、悪い…やっぱり多分もっとこう、精神的な感じだと思う」
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