リブが急激に眠くなる話 仕事を終え、アパートへ帰るため薬をまとめている最中の事だった。
窓の隙間から風が吹き込み、身震いした次の瞬間ずしりと体が重くなる。
「何だ…」
体が思うように動かない。強い眠気に襲われる。
よろよろと近くのソファに倒れ込み、自身の体の冷たさに驚く。こうなるのも納得だ。
インセクト・ピープルという種族は寒さに弱い。動きやら思考やらが酷く鈍ってしまうからだ。
憎たらしい事に混血である私にとってもそれは同様である。
しかしこれはまずい、こんな時間、それも正面の扉すら閉めずこんな治安の悪い場所で寝ていたら泥棒にとっても、下手をすれば人買いにとっても恰好の餌食ではないか。
なんとか正気を保とうとするが、それも虚しく気を失ってしまった。
576