リブが急激に眠くなる話 仕事を終え、アパートへ帰るため薬をまとめている最中の事だった。
窓の隙間から風が吹き込み、身震いした次の瞬間ずしりと体が重くなる。
「何だ…」
体が思うように動かない。強い眠気に襲われる。
よろよろと近くのソファに倒れ込み、自身の体の冷たさに驚く。こうなるのも納得だ。
インセクト・ピープルという種族は寒さに弱い。動きやら思考やらが酷く鈍ってしまうからだ。
憎たらしい事に混血である私にとってもそれは同様である。
しかしこれはまずい、こんな時間、それも正面の扉すら閉めずこんな治安の悪い場所で寝ていたら泥棒にとっても、下手をすれば人買いにとっても恰好の餌食ではないか。
なんとか正気を保とうとするが、それも虚しく気を失ってしまった。
酷い喉の渇きでふと正気に戻る。
慌てて自分の身体が無事にすべて揃っているかと周囲を見渡す。
先ほどと同じ店内だが、扉は閉まり、散らばっていた筈の書類は机の上に軽くまとめた上には何故かバイザーが乗っている。
何という事だ、LOLが私の不調に気付いて、更に私が危惧していた事に対処さえしてくれたのだ。
自身の無事への安堵とともにどっと緊張が解ける。
後で感謝を述べないと。
…ところで、既に身体は温まっている筈が、どうにも身動きが取れない。
…そして背後に温もりと寝息を感じる。
…
「LOL」