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    makkurak1987

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    makkurak1987

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    フクロウのキラ×シン

     純白に青が混じった綺麗な羽根がシンの目の前にふわりと舞い降りてきて思わず手のひらで受け止めた。
     上を見上げるとフリーダムの調整をしていたキラがシンに気付いて手を振っている。
     シンも羽根を摘んだまま手を振り返すと、その羽根に気付いたキラが昇降機も使わずにこちらに向かって飛び降りてきた。
    「あっ!」
     キラが飛び降りたのはナチュラルなら大怪我、コーディネーターでも無傷じゃ済まされない高さなのに、キラは重力を感じさせない様子でふわりとシンの前に着地してみせた。
    「キラさん!いくら面倒でも昇降機は使ってくださいって言われてますよね!」
    「え~、大丈夫だよ。これがあるし」
     そう言いながらバサッと背中の羽根を大きく広げた。

     白のコンパスの隊服に純白で羽根先に向かって青みがかっている翼を携えている姿はまるで天使のようだ。しかし遺伝子的にはフクロウなんだという。
     先の大戦で対立していたフリーダムをこっそり「死の天使」と呼んでいたシンだったが、あの時堕とした天使の中に本当に天使が乗っていて驚いたものである。

    「キラさんの羽根落ちてきましたよ」と先程拾った羽根を差し出す。
     その羽根をじっと見たキラは差し出されな羽根ごとシンの手を両手で包み込み
    「抜け毛みたいなものだからシンにあげるよ」と微笑んでいる。
     その天使のような表情と「抜け毛」というワードのギャップに、包まれた手を凝視しながら「抜け毛……」と思わずつぶやいた。
     自分で言っておいて変なワードチョイスだと気付いたらしく気まずそうにしながら
    「自分で言うのはなんだけど、何度堕とされても蘇る僕の羽根は縁起良さそうじゃない?御守りとして、ね?」
    『堕としたのは俺だけどな……』と思いながらもその綺麗な羽根を受け取った。
     やはり堕ちない御守りというならコックピットに置くものだろうか……と機器の間に差し込んでいるとどこか嬉しそうにこちらを覗いているキラと目が合ってなんだか落ち着かない気持ちになる。
     そして何故かこの日からキラの羽根が抜ける度に羽根を渡されるようになった。
    「はい、シン。御守り」
     新しい羽根が渡されるとそれを受け取ってコックピットに差してあるものと交換し、前のは自室のペン立てに飾った。そんなに私物が多くないミレニアムの自室にキラの羽根が増えていくのは不思議な気持ちだ。
     たまたまミレニアムに乗艦していたアスランにキラの羽根のことを話してみた。
     少し驚いた顔をしたアスランはどこか言いづらそうな表情をして
    「お前のことがきっと大切なんだろう……大事にしてやってくれ」と肩を叩かれた。

    ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

     ファウンデーションの策略でジャスティスは堕とされた。シンはヒルダによって救出されオーブへ向かう中、コックピットから脱出する時の爆風で燃えながら舞う羽根が目に浮かび、その羽根の本来の持ち主を想った。
     今回の作戦行動中のキラの言動も確かにおかしかったがシンはキラが羽根を渡すようになった頃からもうどこか違和感を感じていた。確かにキラが前線にひとり出る方が被害が抑えられてるデータは出ていたがそんなのずっと続けられる訳ないのだ。なのにキラはその戦い方に固執していたように思う。
     アスランはきっとキラはシンのことが大切なんだと言ってはいたが、そもそもアグネスが言うように「フリーダムキラー」なんて呼ばれていた自分を信頼できずに仕方なしに置いていたのかもしれない。
     オーブに着いた後にキラの作戦行動中のおかしな言動はアコードの能力のせいだと分かりほっとしたが、ずっと感じていたキラの鬱々とした感情はアスランによって発露され、結局キラの役に立てなかったと落ち込んだ気持ちはデスティニーとの再会で空元気を装えるくらいまで持ち直してミレニアムと合流した。

    ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

     バタバタと調整でみんなが忙しく動き回る中デスティニーの前でキラがシンを呼び止めた。
    「はい、シン。御守り」
     いつもの言葉で、いつものよりもどこか緊張した面持ちでシンの目の前で自ら羽根を抜いて手渡してくれた。
     今まで渡されたものの中でも1番立派で1番白と青のグラデーションが綺麗な羽根だ。
    「キラさん」
     そのまま去ろうとするキラをシンが呼び止める。
    「俺の部屋の荷物をルナがまとめてくれていたんですけど、その時ペン立てに飾ってあったキラさんの羽根に気付いて教えてくれたんです……
    フクロウが羽根を贈る意味を……」
     キラは少し驚いた顔をしたがシンが頬をそめてまっすぐこちらを見る表情に顔をほころばせる。
     キラは羽根を持つシンの手に取るとその薬指にちゅっとキスを贈る。
    「ねぇ、シン。今度は絶対にこの羽根をなくさないで僕の元へ帰ってきて」
    「はい、キラさん」
     シンも贈られた羽根にキスを返した。
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