レイチュリ / 願いの行方 時計の針はもうとっくにてっぺんを通り過ぎてしまった。
「ギャンブラー、ちょっと付き合え」と連れ出されて付いて来たものの、ここは任務先のとある辺境の星。滞在している小さな街を抜けた先にある森の中、緩やかに続く坂道を登らされ続けている。
「ねぇ教授、一体どこまで行くんだい?」
アベンチュリンは数歩分先を行く背中に問う。
どうせベッドに横になったところでまともに眠れもしないだろうから行き先はどこだってかまわないのだけど。それにしたって任務以外で教授から声を掛けてくるなんて珍しいこともあるものだ。
……任務、ではないよな? これ。え、教授が任務以外で僕に用があることってある?
真夜中の森はざわざわと夜風が葉を揺らす音以外は自分たちの足音しかないせいで逆に静けさが際立って落ち着かない。
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