「お前が乗るのか?」
運転手である修二は、訝しげな顔をアヤトに向ける。アヤトは彼のこういった顔も、昔よりも今の方が何だか見慣れているような気がした。ただ、彼の視線が気にならなくなっただけかもしれないが。
言葉はキツいが、存外彼は周りをよく見ている方だ。言葉選びが壊滅的に下手ではあるが。
「まぁまぁ、お兄さんに道案内は任せとき〜……前回道案内してた組は荷台乗りたいやろうしな」
「別にお前じゃなくても良いだろう」
「……他のメンバーは荷台乗りたそうにしてるん見たら消去法的に俺ちゃう?大丈夫大丈夫、ちゃあんと左右とかは言ったるわ」
「……わかった」
渋々、といった顔付きで修二はアヤトを一瞥しシートベルトを締めた。プロデューサーのみなさん乗りました!の呼び掛けを聞き、緩やかに車は少しだけガタつく道を進み出す。
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