忍の血風録 削除した完結編3、完結篇 ラストのシーン(攘夷忍目線)
攘夷軍基地に、マダオが現れた。
みんなを酔い潰し、白夜叉の服をパクって、一人戦場に向かってった。
残念でした。僕酒の管理は手馴れてるから。酔いつぶれなんてしません。てか未成年(推定17歳)に酒飲ますな。
まぁマダオの作戦を邪魔したくなかったから、寝たフリしてたんだけどね。
マダオが出てったのを確認して、追うようにそっと基地を出ると。
いました。
10年後の馬鹿どもが。
てか戦場の中でめちゃくちゃ目立ってる。え、10年後ってあんな色鮮やかなん?それとも今が全体的にくすんでるってこと?
アニメの配色は過去との区別をするための演出だと思ってたけど、あれ演出じゃないわ。歌舞伎町鮮やかすぎるし攘夷戦争地味な色しかないわ。さっちゃんあれ本当に地毛??
やってきた歌舞伎町メンツをよく見てみると、少し違和感を感じる。
真選組の中に、伊東鴨太郎がいる。
そして、辰馬と陸奥がいる。
あれ?なんで原作でいない奴らがいるんだ?
……もしかして、未来の“僕”が何かやったのか?
じゃあ、その“僕”はどこにいるんだ?
目を凝らして、探していると。
「……本当、馬鹿だよな、お前は。
いや……“僕”か」
聞き馴染みのありすぎる声が後ろから聞こえ、ハッとする。
……そこには、映画泥棒のあのカメラを被った男がいた。
「……え。
もしかして僕、たまの役割奪っちゃった感じ?」
「いや、これはただのカモフラージュさ。
お前に、今の僕を知られるワケにはいかないから」
……まぁ、みんなを呼び集めるお手伝いはさせてもらったけどね。
そう言う男の口調や声は、腹が立つほど自分のもので。
これが、未来の僕か。
……てかさ。
「……お前、その格好してみたかっただけだろ」
「あ、バレた?
実は憧れてたんだよね、実写版ヅラが映画泥棒の真似してるの」
「言わなくても分かるわ、僕もやりたいもん」
「やってるし」
「やってるね」
……なんだこのノリ。
未知の感覚に内心戸惑う。
人生4回目でも、さすがに自分と会話するなんて経験ありませんから。そりゃ戸惑いますって。
けれど、登場時の気配のなさといい、異様な貫禄といい、コスプレしている上でも“成長した僕”というのが嫌でも分かった。
「で、なんでみんなに混ざんないの?
高と仲違いはまだ分かるけど、銀もヅラもいるし。辰馬もわざわざ連れてきたみたいなのに」
聞くと、カメラ姿の“僕”はふと、顔を逸らす。
「……色々あってさ」
「……誤魔化したい気持ちも隠したい気持ちも分からなくないけど、誤魔化されんのは気持ちよくないな」
「……そうだよな。
まぁ……“変えた”部分だけは話しとくか」
呟いて、“僕”は顔をこちらに向け直し、言う。
「僕、本来なら白詛で死んでんだ」
「……え」
「銀を救おうとしたのに、結局何もできず無様に死んでった。
今の僕は、銀が10年前殺された世界線から来た。
結局、僕は何も変えられず、おめおめ彼らに救われただけなんだ」
「……ちょっと待てよ?
その前に、銀を白詛に感染させまいと動かなかったのか?“僕”は」
全てを知ってるなら、そもそもこの時代――攘夷時代の僕は、銀時を一人で厭魅の所に行かせないはずだ。
少なくとも、僕がついて行くはずだ。
それなのに、それを見逃し、銀時を白詛に感染させ、広まってしまったというのか。
僕の質問に、“僕”は答える。
「……実は、僕がこの戦場に来たのは、数日前」
「……!?」
「さすがにお前でも気づかなかったのか。
……まぁ、気づかれないように動いてたんだけどね。
本来僕は、厭魅戦の直前に大怪我を負って寝込んでいる。
僕は昨日、その戦いに少し関与し、お前の怪我を防いだ」
「……!」
全く気づかなかった。
僕が庇われていたことに。
“僕”のことだから、直接僕の前に現れず、仲間の誰かを利用したり少し動きをずらしたりして、僕への攻撃を無かったことにしてくれたんだろう。
……てか、“僕”ガチなんもしてないじゃん。完結篇見事に全く関われてないじゃん。
唯一関われるのがここからみたいなので、思いっきりカッコつけて「フッ」ってやってやろう。((
ふと、“僕”が僕の背後に視線を向ける。
「……時間切れだ。アイツらが来る」
そう言われて初めて、後ろの基地がざわめいているのに気づいた。
酔いつぶれていた奴らが起きたんだ。
そして“僕”は、すぐに来るであろう白夜叉達と会いたくないんだろう。
「尾岸 忍」
ふと、“僕”に名を呼ばれる。
そして“僕”は、カメラを外した。
そこには、少しおっさんに近づいた“僕”の顔があった。
……微笑んだその表情は、不覚にも、どこか先生を思い出させた。
「強くなれ。
アイツらを“救う”ために。
もう二度と、後悔しないように」
……この“僕”は、何を見てきたんだろう。
少なくとも、今の僕よりは確実に強くなっている。雰囲気だけでも、それが分かった。
……それでも、救えないものが、あったのだろうか。
僕が頷いたのを見て、“僕”は去っていった。
そして僕は、銀時・ヅラ・辰馬・高杉と共に、未来の彼らの助太刀に向かった。
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10年前の銀時達と共に、歌舞伎町の面々の助太刀に行く“僕”の後ろ姿を見送る。
10年前の“僕”は、あまりにも純粋だった。
確かに根本は“僕”だった。
けれど、アイツはまだ信じてる。
先生を救えることを。
自分が、将来も、堂々と彼らの横に立てることを。
……先生を救えず、アイツらに顔を出せず、名前も姿も変えて生きている宮沢賢剣のことを、アイツはまだしらない。
強くなれ、なんて。
言ったところで、どうにもならないけれど。
せめて、少しでもマシな未来を。
そう願ってしまうのは。
自分を初めて他人として見て、ソイツをも救いたいと思ってしまったからかもしれない。
「よぉう金時!お前、自分殺しにきたんがか?
相変わらずバカなこと考えよって!!」
「辰馬!?なんでここに!?」
「ガハハ!なんか呼ばれたきにのう!」
「誰に!?」
「分からん!」
「……???」
(未来の辰馬と陸奥は、攘夷時代に来た時に突如参戦。
呼びに来た映画泥棒が忍だとは気づいてなかった)