「好きです、俺と付き合うてください」
「気持ちは嬉しい、ありがとう。でもごめんな、付き合うのは無理や」
最初の告白は、部室で、こんなんだったと思う。
夕陽が窓から入ってきてて、北さんの色素の薄い髪がキラキラしとったのを覚えとる。
あんまりにも躊躇いなく断られて、逆にびっくりしてしまったのも、よく覚えてる。
「なんやその顔、フラれて意外なんか」
フラれるのはもちろん想定していた。むしろ十中八九フラれると思っていた。
俺は大分チキって、なんのアプローチもしていなかったから。
だからこの告白で意識してもらえればいい、とは思っていた。元より男同士、そのうえ同じ部活の先輩後輩。気まずくなる、というのはあまり考えていなかったが、アプローチの仕方が分からなかったというのも実のところはあった。
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