隔たりありて肉の壁 煙草に火をつけて、思い切り吸い込む。アイランド・フォーの動乱によって起こされた混乱が漸く落ち着きを見せ始め、同業者たちは次々とこの場所を去っていく。ふと、此処でであった星のことを考える。
天然の怪物、鬼才、天上の星、フロイトとの出会いはオキーフにとってそれだけ強烈だった。真人間のAC乗りといえば英雄ミシガンではあるが世代が異なっていたし、半ばAC乗りは強化人間が主流の時代で、そんな怪物と組むなんて、この場所に来た時は予想もできなかった。オキーフも、オールマインドも予測出来なかった変数、それがフロイトであった。
「よぉ、オキーフ。食料買ってきたぞ。」
屋上に上がって来たフロイトが、市から仕入れたであろう紙の包みをオキーフに投げる。それをキャッチすると、オキーフは吸っていた煙草を出していた携帯灰皿に入れた。
1953