女子部屋の内緒の話「ミナミちゃんは好きな人とかいないの?」
「え?」
突然の振りに読んでいた本から視線をずらす。レンジャースクールの女子部屋では数人が集まってガールズトークを繰り広げていた。我関せず、といった面持ちで本を読んでいたのにどうしてこちらに振ってくるのか。
いかんせんこういう話は苦手だ。
「私は別に…」
「カッコイイなって思う人くらいいるでしょ?」
興味津々といった視線がチクチクと痛い。本を枕の横に置き二段ベッドから出て輪の中に入る。
カッコイイ人…同級生の面々を思い浮かべていくがイマイチピンとこない。頑張って頭をひねり1人を絞り出す。
「う~ん、そうだなぁ…強いて言うなら隣のクラスのユウキくんかなぁ…」
成績もよく品行方正、顔立ちも整っている。多分ああいう人がモテるのだろう、と他人事のように考える。
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