鳴片 やいたりついたり
聞きたくない噂を聞いた。
最初は人違いだと思った
次は気のせいにした
だけど、
断片は重なる内に確かな情報となった。
「草薙先輩が」
「え、うそでしょ」
「すっごい美人だったらしいよ」
「どれもんよ」
「あー、あの人結構アレだよね」
やだ、やだやだやだ
人の口は覆えないし
人前で耳は塞げないので
俯いて
肩を竦めて
小走りでその場を去る
あんな噂、
あと何日聞かなければいけないのだろう
さらっとして
優しくて
ちょっとやらしい冗談は言うけど
だけどそこがまた
やわい女心をくすぐられてしまう
三白眼は凶相と言われているが
当たりのやわらかさのおかげで
寧ろ魅力的に見える
腰が痛いだの肩が凝っただの
2678