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    Leah4448MI

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    Leah4448MI

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    エイとルテとリシとマリ
    無事に書き切れるか分からないので投げます
    オチは.......知らない子ですね

    聞くべきではなかったのかもしれない。
    今更それを思ったところで後悔を振り返っても仕方がない。
    聞く耳を立ててしまったことに対しては自業自得でしかない。
    あくまでも根も葉もない只の噂話でしかないのだから、現実面の根拠は一切ないのだから鵜呑みにしない方が良い。
    そう言い聞かせて強がっているけれど、やはり畏怖が騒ぎ立てられる。
    あの会話が頭から離れてくれないからと、子供染みた言い訳でしかない。


    そうなった経緯は、数時間前の事。
    今夜夜番に当たっているエイリークとルーテとリシテアとマリアンヌは、時間があるからとその間軽食を共に取ることにした。
    飛空城に設置されている食堂へと足を運ばせ、夕食の時間帯までまだあるのか人は少なかった。それぞれ食事を貰って席についた後、他愛のない談話を広げ親交を深めていた。

    「最近よく耳にする部屋ですすり泣く女性の噂はご存じでしょうか?」

    ルーテの口から溢れた話題から始まったと過言でもはない。
    最近よく耳にするすすり泣く女性の噂。
    雑談の一つに含まれているぐらい、英雄達の間では広まっている。
    しかし、その噂は気味が悪かった。何せ、信憑性はあまりにも不透明でしかないのだから。

    「......その噂、最近よく聞きますよね」
    「.....噂に寄りますと、不特定に部屋を変えて誰にも知られないように女性はすすり泣いていると云われていますね。
    しかし、事実は不透明であくまでも噂として流れているだけですね。実に興味深くなります」

    マリアンヌはきょとんと不思議そうに、ルーテはサラダサンドを口に含みながら興味深そうにしている。
    その噂は小耳に挟む程度でなら存じている。

    しかし、その部屋は不特定で日に日に部屋を変えていて誰も分からないまま。
    噂如く、その女性は誰にもすすり泣くことをあまり知られたくないらしくて。
    その真実は誰も知らず、風の如くに噂として流れているだけ。

    「そんな噂、嘘に決まっているじゃありませんか。根も葉もありませんし、根拠ありませんよ」
    「......そうですよね。た、只の噂でしかありませんし.....!」

    リシテアは恐怖心から取り繕うように、エイリークは心細そうに唇を動かしている。
    根拠もないのだから、鵜呑みにしない方がいい。信じたくない、と感情を飲み込むように遠回しに一点張りしている。

    「もしかして......その噂は.....幽霊じゃありませんよね?」
    「ゆ、幽霊な訳ないんじゃありませんか。
    魔物ならともかく、幽霊なんて居るわけありません!!」

    リシテアは語気を強めに震えながらも必死となって言い張る。
    存在の有無は証明されていないし、非科学的にもあり得ない!魔物ならともかく、幽霊なんて居るわけがない。
    その言葉にエイリークは恐れて強張った感情が緩和され、ほっと息を溢すように安堵する。

    「......リシテアさんの仰る通りですね。
    魔物なら.....まだ分かりますけど、まさか幽霊だなんて.....」

    「否、幽霊は存在しています」
    「は!?」

    サラダサンドを黙々口にしながら、ルーテは静かに溢した。
    リシテアは思わず声を荒げ、肩を震わせた。
    桃色の瞳を険しく疑わしそうにルーテを睨んだ。エイリークは不安そうに碧の瞳が揺れ、僅かにも肩が震えている。

    「それって.....どういう意味でしょうか?」
    「単刀直入に申し上げますと、幽霊は死んだ人間.....只それだけです。
    殆どの人の目には見えていないだけでしょうけど元々人間であるのだから存在しているでしょうし、今頃は何処かで彷徨っているのでしょうね」

    幽霊は元は人間なのだから、今も尚何処かで彷徨っている。憐れにも殆どの人間の目には見えていないだけで、存在有無の証明がされていないのだから信憑性なんて定かではない。
    ルーテは知的好奇心の働きであらゆる文献を読み知識を蓄えている。
    その結果は幽霊は存在している。
    何せ、幽霊は死んだ人間の魂だと結論に至っているから。

    「もし噂が本当であるのなら、検証してみたい所です。
    皆が寝静まった兵舎を見回って、すすり泣く声が聞こえたらその部屋を開けたい所です。
    不透明な噂の真実も辿り着くことが出来ますし、幽霊の存在有無も証明できます。
    優秀な私の手にかかれば、一石二鳥になります」
    「あんたならやりかねないので、絶対にやめてくださいね!?」

    ルーテの知的好奇心が騒ぎ立て、見回りついでに噂の検証を試みたいと思っているぐらいだった。
    そうすれば噂の事実にも辿り着けるし、幽霊の存在有無が証明される。
    前者は噂の真実を後者は長年の疑問が晴れる、と意味が示されることになる。

    そんな彼女をリシテアは警告を込めて語気を強めに込めて止める。
    同じ魔道を志し知識を求める故に互いに意気投合しているから、間違いなく取り返しが付かないことが起こりそう。嫌でもそう予感してしまうから、何としてでも止めたい。
    怖いと遠回しな言い訳を使うように。

    「リシテア、もしかして幽霊の存在に恐れているのでしょうか?
    先程から強がっているように感じ取れますので」
    「そ、そんなのあんたが余計なことを言うから悪いのですよ!?
    わたしは大人ですし、幽霊なんて怖くありませんから!」

    「.........」

    マリアンヌは蚊帳の外状態に話題に入ること無く、ただずっと傍で聞いていた。
    自ら率先して話すよりも、話を聞いている方が好きだからあまり気にしていないが。
    噂についても不安だが、級友であるリシテアの様子がもっと気掛かりだ。
    そういった話題が苦手であることは存じており、ルーテに指摘された通り怖がっているのを隠すように取り繕ってばかりだった。
    強がっている、と端から見ても分かりやすいのだから。
    リシテアだけでなく、隣に居るエイリークのことも気掛かり。先程から表情が優れておらず、不安げに碧の瞳が揺れ動いている。

    「あの.....エイリークさん。
    その.....大丈夫ですか?先程からお顔が優れていないので」
    「え、あ.....もしかして.....気を遣わせてしまったのでしょうか?」
    「.....はい。以前のこともありましたので、心配しているのです」
    「......マリアンヌさん。
    ご心配をお掛けしてくれてありがとうございます。私ならその.....大丈夫ですので、安心してくださいね」

    エイリークは取り繕うように苦笑して、所々歯切れが悪かった。
    以前の幽霊騒動に置いても一緒に調査していた時にもエイリークは少し怖がっていて、最後には取り乱すぐらいに逃げてしまったことがあって。その件を持ってエイリークもそういった類いが苦手だと知ることになって、だからこそリシテアと同じように心配している。

    .....今晩の夜番は何事も無ければ良いのですが。
    マリアンヌは二人の様子を見て、そう思わざるにはいられなかった。心の中で主に平穏を祈った。

    ────

    夜空に浮かび上がる満月は分厚い雲に隠れていながらも儚く柔らかな光を纏っている。
    肌を撫でる風は冷たい。耳を澄ませば聞こえるのは呼吸。時々、梟が静かに鳴く声も一緒に。

    「今日は何事も無かったみたいで良かったですね」
    「ここ最近は安泰していますし、このまま少しでも長く続ければいいのですが......」

    兵舎へと向かう帰り道、エイリークはほっと安堵の息を溢すようにそう呟いた。その言葉を聞き、マリアンヌも祈るように同様する。
    周辺を見回り、盗賊が出没することがなく魔物の目撃情報もない。
    静かに時が流れ、時間の経過と共に夜番の役目をもうじき終わりを迎える。
    何事もなければ、一時の脅威から免れ平和を保てている証だ。
    しかし、いつ如何なる時にも油断をする訳にはいかないし、完全に脅威が去ってはいない。
    つまり、この平和は一時的なものでしかない。

    「確かにこの平穏は一時的なものでしかありせん。だからこそ、優秀な私達が喚ばれたと言っても過言ではありません。
    .....それにしては、召喚はどのように行っているのか興味深いですね」

    ルーテは少し興味深そうに召喚の仕組みを考える。数多の異界から英雄と称えられている彼女達が喚ばれ、この地に居る。
    .....喚ばれる英雄達はまるで神による気まぐれのように無造作であった。
    導かれた時代、辿られた経緯、と同一の人物だろうがそれぞれ違っていた。

    「エイリークは私の知る貴女とは時代的に少し異なっていますし、リシテアとマリアンヌは五年を経って成長しているのでしょう?」
    「ふふん。あんたが思っているよりはもう大人になっていますから」
    「それは少し不思議ですよね.....」

    エイリークは兄に似た装いに身を纏い、リシテアとマリアンヌも五年の時を経って成長している頃に喚ばれている。
    ルーテはリシテアと冬祭りの使者をした仲でもあるのだから、背も伸びた彼女を見て不思議とも思ったのだろう。
    様々な困難を乗り越えたのだろうか、顔付きも違って表情からも覚悟が伝わってくる。

    「そうであっても私達のやるべきことは変わりませんよ。その為にここに喚ばれましたから」

    脅威から守る為、元より力を貸すつもりだ。
    召喚士との間で結ばれた契約でもあり、平和を想う彼女ら自身の意思でもあるのだから。

    「明日もありますし、今日はこのまま解」
    「否、まだです。あの噂を検証してませんから」
    「は?あんた、本気なのですか?」
    「無論です」

    すると、木々の葉がザワザワと音を立てて揺れ動いた。
    リシテアは肩を震わせ、ルーテの羽織ってるマントをぎゅっと掴んだ。

    「......っ!?」
    「リシテア、ただの風の音ですよ?」
    「わ、分かっていますよ!」
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