狭い部屋で、相方と2人でバラエティを観る。
「こういう催眠ってほんとにかかってんのかなあ」
「あ、私催眠術使えるよ」
「えっマジ?俺にかけてよ」
わくわく、と顔に書いてあるかのような表情で相方こと髙羽が私を見る。
「私に何されるかもわかんないのに?」
「えーでも羂索は俺に酷いことはしない!…と思う」
「そこは断定しなよ」
「いやだって、一回殺されかけてるし」
なんて会話の最中にぱちんと手を打つ。
「今から君は『次に私が手を叩くまで意識はあるけど抵抗できなくなる』」
ぼんやりと瞬きをする髙羽。
『冷蔵庫からファンタとアイスとってきて』
「…!」
髙羽秘蔵のアイスくらいバレてるに決まってるでしょ。抵抗しようと数秒耐えるも結局立ち上がって冷蔵庫に向かう。
睨みつけながら、ん!とファンタとアイスを差し出してくる。棒付きのアイスを一口で半分食べ、このまま全部食われるんじゃないかとハラハラしている髙羽の口に突っ込んでやる。
『舐めろ』
「…、っ…」
こぼさないように丁寧に舐め取っていく様に息子がやや反応を示す。狙ってないあざとさが本当にあざといんだよ、君は。フェラはまだ下手くそな癖にね。…舐める姿に免じて、心優しい私はファンタも半分残してやることにした。
「はい、もういいよ」
なんとかこぼさずにアイスを舐め切った髙羽の催眠を解き、ファンタを手渡してやる。
「ん、ありがと…」
一息に飲みきり、ドンと万年炬燵に空き缶を置く。
「食べ物で遊んではいけませんっ!」
「でも熱々のおでんも激辛シュークリームもやるだろ君」
「ぐっ!それは…やる、けど…」
「粗末にしたわけじゃないんだからいいでしょ、別に」
ああ、それと。にっこり笑って髙羽ににじり寄る。
「一回目がこの程度だったからって次が無事とは限らないよ」
「は、え?」
「『催眠』」
しっかりと目を覗き込んで強い口調で暗示を掛ける。目が蕩けて、熱を持つ。
『君の思いつく限りのえっろい御奉仕、してよ』