血筋にまつわるあれそれ 迎えが来た5時間目終わり、理科の教科書そっくりの積乱雲があった時点で嫌な予感はしていたが、ぽつぽつと雨粒が落ちてきたと思ったら、あっという間に土砂降りになってしまった。ワイパーは60のメトロノームと同じぐらいか、それよりも速いスピードで絶え間なく振れている。それでもこの量の雨は拭いきれないようで、おまけに車は夕立と同じ方向に進んでいるのだから余計に悪い。
車内は静かだった。かろうじてカーナビでニュースはついているが、音量はぎりぎりまで絞られている。前に座っているふたりにさえ聞こえるか怪しいぐらいの大きさで、つけている意味あるのかなと思う。パパはずっと黙っている。ママも、スマホを貸してくれる感じじゃない。運転席の後ろのポケットのところにはDVDが何枚か入っていているし、ゲームができないならせめて後ろのモニターでアニメでも見たかったけど、この空気で言い出せるはずもなかった。ディスクは前のカーナビに入れなくてはいけないのだ。
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