弊WT主人公がトレーニングセンターに来た理由小さい頃、オレは森で赤ん坊の頃からずっとトモダチだったイノシシを殺した。
そうしないと村から追い出すって、いわれたから。
オレの生まれた島の人々は狩りで命をつないで、村同士の闘いに勝つことで繁栄する。
だからオレみたいに動物を殺せなかったり、人と争うのを嫌がる男なんてのは当然使い物にならない。
…
「イ…イヤだ!あいつとはずっと一緒にいるんだ!できないよ!」
「狩りができない男は一人前になれないんだ。お前には素質がある。」
「マウガ、これは試練なの。こうでもしないと、闘えないお前は村から追い出されるわ。」
「動物も殺せないような弱い奴がこの島で生きていけると思うな!」
「…弱いって何?トモダチをころせるのが強いってことなの?」
「いいから行ってこい!村を飢えさせたいのか!」
…
気が弱くて臆病だったオレは、村を追い出されたら生きていけない。まだ小さい妹もいる。村の言いつけにしたがって、狩りの対象になったトモダチをこの手で狩るしかなかった。
その夜、どれだけ泣いたのかもう覚えてない。
とにかく、トモダチをこの手で殺したそのカンショクだけが記憶にこびりついてる。
周りの言う通りにしないと生きていけない。
そんな自分の弱さが、一番、すごく、悔しかった。
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あれから10年。
英語を勉強して、オレは憧れていた島の外に出た。
ここはメトロシティ。
自由の国アメリカの中でも、いろんな国の人々が集まって、受け入れてくれるって聞いた。
思ったより治安が悪いし、何よりチンピラがたくさんいてコワイけど…逆に考えればそれだけ自由ってことなのかもしれない。
…故郷で、弱いヤツだって散々言われてきた。
自分でもそう思う。
でも…「強さ」って何だろう?
トモダチでも殺せる冷酷さ?
同じニンゲンと戦争をする勇気?
相手をねじ伏せる支配力?
オレにはどれもイワカンがあって、でもハッキリと「強い」ってどういうことなのかが分からなかった。
廃車場のアルバイトで生計を立てて細々とくらしていたある日、道端に落ちていたチラシを拾った。
「レジェンドファイター」って呼ばれる男の写真と名前がでかでかと映し出され、横には「強くなりたいならバックラーセキュリティサービスのトレーニングセンターへ!」と書いてある。
レジェンド。伝説って言われるくらいだから、すごく“強い”人なんだろう。
まぶしいくらいに自信と闘志に満ち溢れた顔。
…この人なら何か知ってるのかもしれない。
オレはチラシに書かれた地図の星の形をしたマークを頼りに歩き出した。