ミラーリング #15-6「王女の最期」「メイヴ様! アリル様!」
天幕に駆け込んできた忠臣マック・ロスの慌てた様子に、メイヴは眉をひそめた。
「どうしたの? ずいぶんな慌てようね」
「一大事でございます」
マック・ロスは、ぜえぜえと肩を弾ませた。
「アルスターの男たちが、ついに立ち上がったのでございます」
「なんだと?」
アリルは上ずった声をあげた。メイヴも舌打ちをする。
今のアイルランド連合軍は、クー・フーリンによって戦力を大幅に削られていた。
コノートで一番の勇士だったフェルディアをも失った今、アルスター軍に勝てる見込みは低かった。
「退却だ!」
アリルは叫んだ。
「本来の目的だった赤牛ドン・クアルンゲは手に入れた。多くの家畜や財宝も奪った。もう十分だろう、我が妻よ?」
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