未確認生物についての記録(重厚な机の上に、ノートが開きっぱなしになっている。
今は不在の持ち主に悪いと思いつつ、あなたは好奇心の赴くままにノートを覗き込んだ)
(初めの頁にはメモ用紙がいくつか貼付されている)
『○月×日
エルザーより報告。
葡萄畑に見慣れない生き物がいた。丸い何か、おそらく鳥類のようだ。(おそらくとは?→おそらくとしか言いようがない、例えるならヤマガラに似ている)』
『非常に大人しいが、人が近付いてもすぐには逃げない(手が届く距離になると飛び去る)。従業員を威嚇せず、葡萄に害をなす様子もない』
『要注意、経過観察とする』
(以下、日記に近い形式で日付・短文が綴られている)
○月■日
例の生き物を見かけた。丸い。手の平に乗る程度の大きさ。
報告通り大人しい。確かに顔?の位置などを見ると鳥類かどうか怪しかったが、地面から木の上に飛び上がったのも視認できた。しかしあの小さい翼で飛べる原理もよくわからない。
木の下から様子を見ていると、むこうもこちらを伺っているようだった。動かずにじっと見詰める眼差しは、なぜか邸内の像が思い浮かんだ。梟、なのだろうか。
○月●日
冒険者協会の依頼でモンドを訪れた旅人からの情報によると、稲妻やフォンテーヌなど各国であの梟(?)と似たような生き物が確認されているという。元素生物なのだろうか?
特に被害が出たという話は聞いていないとのこと。
丸い狐、丸い鮫、丸い龍?など、とにかく丸い体型に、なぜか近隣の住人に似た顔を備えているらしい。ではあの赤い毛(髪?)は―
(しばらく悩んだのか大きなインクの染み。文字は途切れている)
「だからあんなにお可愛らしい顔をされているのですね」とはどういう意味だ、アデリン…。
○月▲日
トゥナーが葡萄畑で転びかけたのを、例の梟(?)に助けられたらしい。襟を掴んだまま羽ばたいてホバリングし、地面に叩き付けられるのを防いだ。見かけによらず力持ちのようだ。
トゥナーが礼に葡萄を一房与えてみたところ、器用に銜えて木へと飛び移ったという。
草食なのだろうか?葡萄の味を覚えた可能性もある。賢い個体のようだし心配は無いと思うが、気を付けておくに越したことはない。
○月★日
朝から強い雨。対象が葡萄棚の下で雨宿りをしていた。
先日旅人から聞いた話だが、かつて訪れた世界の極東の島国では、果樹園に巣箱を設置して(普通の)梟と共生しているという。梟は果実を狙う鼠を狩り、人の気配が梟の天敵を退けるのだとか。
あれが鼠を狩るかはわからないが、ここに馴染んでいるようだし、ワイナリーで巣箱でも用意してみようか。
○月◆日
対象が巣箱の穴に詰まっていた。中に入ろうとしたら穴が小さすぎたようだ。悪いことをした。
ぴたりと填ってしまったらしく、穴から飛び出した臀部と足がばたばたと暴れている。
モコとヘイリーが「可愛い!」と燥いでいたが、あれはどちらかといえば憐むべき姿に見える。あれに似ていると思われるのは少し…、いやけっこう嫌かもしれない。
穴から出してやったら一目散に飛び去った。
○月▼日
穴を広げた巣箱を設置した翌日、ワイナリーの荷車の上にググプラムの実が積まれていた。隣には日光浴中らしき対象の姿。巣箱の礼、だろうか。
最近、ワイナリーの誰が最初に触れるかと細やかな駆け引きが行われているらしい。(先日の穴に詰まっていたのを助けたのはカウントしない。対象が受け入れるかどうかが重要なんだとか)
油断しているようだし、と手を伸ばしてみたところ、すぐに飛び起きて逃げられてしまった。やはり野生は侮れない。
△月□日
先日から続く強風で飛ばされて紛失していた洗濯物が、汚れてはいたもののワイナリーの玄関に届けられていた。
ヘイリーは「きっとあの梟ちゃんが拾って届けてくれたんですよ」と主張している。エルザーは懐疑的だったが、あの賢さならあり得るかもしれない。
△月◎日
葡萄畑を見回っていたら、対象がイタチを追い払っていた。
イタチも鼠と同じく葡萄の木の根を齧る。葡萄を守っているように見えるのは考え過ぎだろうか。
△月○日
アデリンが城内へ買い出しに出た帰り、声をかけてきた不審者を対象が攻撃した。
今まで人に危害を加えることはなかったのだが、アデリンの危険を察知したのだろうか?顔を突いて撃退した後、ワイナリーまで彼女に連れ添って飛んでいたそうだ。護衛のつもりだったのかもしれない。
不審者はどこぞの宝盗団の一員の可能性もある。現場がワイナリーに近いのが気がかりだ。
一応騎士団にも報告を上げておくことにする…働きは期待できないが。
△月△日
鷹小屋の近くで対象を見かけた。止まり木の上の鷹と見つめ合う(睨み合う?)こと数分。もしや意思の疎通ができているのだろうか。
鷹がカシカシと嘴を鳴らしたのに呼応するように「フン」と聞こえた気がしたが、あれは鳴き声だったのか?
謎は深まるばかりだ。
(普段とは異なる筆跡)
△月☆日
ずいぶん面白いものを書いているじゃないか旦那様。
へぇ、アイツに会ったのか。懐かしいな、随分と姿を見かけていなかったが。
悪い奴じゃないし、ここの人たちとも上手くやってるんならまぁ心配ないだろうさ。
不審者の件は手間をかけて悪かった。騎士団の哨戒を出来るだけ増やすようにする。
(いつもの筆跡)
勝手に人のノートに書き込むんじゃない。騎士団の働きが鈍いのはいつものことだ、もう慣れた。
…待て、君はあの梟を前から知っていたのか?
(以下、ゲスト?とのやりとりが続く)
△月◇日
まさか旦那様から返事があるとは。明日は槍が降るかもな。
あれはやっぱり梟でいいのか?最初に見つけたのは確かお前が騎士団に入って寮に移った頃だったかな。
別に隠していた訳じゃないぞ、まさか他の誰もアイツのことを知らないとは思っていなかったし、お前がモンドに帰って来た頃からしばらく見かけていなかったから話題にも上がらなかったんだ。気付かず悪かった。
別の個体か、もしかしてお前みたいに他の国にでも行っていたのが戻ってきたのかもな。
むしろ俺はここの人たちが知らなかった事に驚いた。俺は昔からお前に似てるなと思っていたんだが。
△月▽日
僕がまだ騎士団にいた頃…そんなに前からここにいたのか。
別に咎めている訳じゃない。その頃は君の前にしか姿を見せなかったのなら、今は経験を積んで人との距離感を覚えたのかもしれないな。
それから君は教会で目を診てもらうことを勧めておく。僕があれと似ている箇所は赤毛くらいだ。
△月×日
そうか?きゅっと締めた口元とか似てると思うけどな、旦那様がそこまで言うなら診てもらうか。俺に同意してくれたアデリンと一緒に。
悪かった。午後の死を一杯。
三杯なら手を打ってもいいかもな。
調子に乗るな。
△月■日
おお怖、わかったよ。
そうそう。今日、例の梟を見たぞ。
書類を届けるついでに葡萄棚を見ていたら、俺をじっと観察してから寄って来た。突かれるかと思ったぜ。俺のことを覚えていたのかもな。当時よりでっかくなった気がする。
ちょうどナッツを持っていたから少し分けてやったんだが、アイツは人間の料理も食べられるのかね?
△月●日
記憶力もいいんだとしたら、計り知れない潜在能力だな。
君が対象を餌付けしたようだと知らせたら、「ではあの子に最初に触れたのはガイア様ですね」とモコが悔しがっていた。
君、間違っても酒なんて飲ませるなよ。
△月▲日
「どうしたらあの子と仲良くなれるんですか?触り心地はどうでしたか?」なんて聞かれたのはそのせいか。旦那様もモコも気配がうるさいからな、逃げられちまうのさ。
おいおい馬鹿を言うな。昔よりはでっかくなったとはいえ、まだアイツには酒は早いだろう、勿体ない。アップルサイダーで十分さ。
しかしいつまでもアイツだの対象だの例の梟だの書くのは面倒だし味気ないな。旦那様が名前をつけてやったらどうだ?
△月◆日
誰がうるさいって?
名前か。そこまでしてしまうとペットのようで気が引けるが、確かに一理ある。ワイナリーで見かけて長いし、従業員も色々と世話になって(世話をして?)いることだし。
そういう君は、昔アイツをなんて呼んでいたんだ。
△月▼日
じゃあまずはその刺すような警戒心を解いてやれよ。特に野生の生き物ってのは繊細なんだ。
名前くらい、そんなに気にすることないさ。クレーはそのへんの鳩にも名前をつけてるぞ、ほらモンド城前の橋でティミーが餌をやってる奴等さ。だいたいは名前を呼ぶ前に飛んで逃げられちまってるがな。
俺がアイツを何て呼んでたかって?
笑うなよ?お前や、(一文字分ぐしゃぐしゃに塗り潰されている)クリプス様が気に入っていたあの梟の像にどことなく似ていたからな、昔は——
(あなたはページをめくろうとして部屋の外に気配を感じ、慌ててノートを閉じた)
(ノートの表紙にはタイトルが手書きで記されている。『未確認生物』という文字に二重線が引かれ、以下のように訂正されていた)
『おうるっく』についての記録
**********
カラン、とドアベルの響きがディルックに来客を知らせる。
夜も更けて暫く。こんな時間から新たに酒場を訪れるのは二件目を求めた陽気な酔っ払いか、何らかの理由で家に帰れない哀れな冒険者か。
あるいは――積まれた残業をなんとか終えた騎士団員、だとか。
「お、今日は旦那様の日か」
ディルックが脳裏に思い描いた通りの人物は、揚々とカウンターの椅子を陣取った。どうせ『いつもの』だろうとディルックが注文を聞く前から手にした蒲公英酒のボトルを見て、新たな客は――ガイアはにんまりと口角を上げる。
ぱちぱちと弾ける液体で満たされたグラス、それからつまみのナッツ類の小皿を差し出そうとして、ふと。ディルックはガイアのマントが不可解な動きをしたのを見逃さなかった。
「おい君、肩に何か――」
ひょこり、と。
何か虫でも、そう言いかけたディルックを遮るように肩口のファーの中から顔を出した小さな生き物。焦げ茶の羽、ころんとした体躯、引き締まった口元。ここひと月程で見慣れた姿ではあるが、それはごく限定的なエリアの中だけの話で。
なぜここに。目を見開いたディルックの様子に気付いて視線を追ったガイアは、「ああそうだった」なんて言わんばかりに生き物を——おうるっくを手に乗せてカウンターに降ろした。
「ワイナリーからの荷馬車に紛れ込んでいたんだそうだ。今日の御者は城内で仕事上がりだろう、ワイナリーに連れて帰れず困っていたから、俺が預かったのさ。折角だから旦那様の仕事姿を見せてやろうと思ってな」
おうるっくは物珍しさからか、エンジェルスシェアの店内をキョロキョロと見回した。案の定、酒で満たされたグラスに興味を持ったのか、ぴょこぴょこと軽やかにカウンター上を跳ねて近付いていく。
酒を飲ますな、とあの記録帳に記したのを思い出す。まさか危惧した展開の通りになるとは。咄嗟に遠ざけようとしたディルックよりも素早く、グラスを掬い上げたガイアはその中身を煽る。
「いい酒だ。だが、お前にはまだ早いよ。旦那様、アップルサイダー…いや、ぶどうジュースの方がいいか」
旦那様とお揃いだぞ。だなんてニヤつく酔客を一睨みしてからディルックはボトルを手に取る。芳醇な香りを漂わせる甘い液体を子供用の小さなグラスに注ごうとして、それでも彼?のフォルムでは飲み辛いかと逡巡してしまった。
結局コップでの提供を諦め、ボトルからシェイカーを経由してツマミ用の小皿に注ぐ動作を、おうるっくはじっと観察していた。溢さないよう慎重におうるっくの前に小皿を差し出せば、ふんふんと匂いを確かめてからちびりと一口。
その瞬間、おうるっくが目を輝かせたのがディルックにもわかった。
よほど気に入ったのか、おうるっくは身を乗り出して勢い良くぶどうジュースを飲み干していく。
ぷぁ、と吐いた息のあどけなさに思わず口角が上がりそうになり、ディルックはさっと口元を握った手で隠した。良かったな、と擽るようにその頬を捏ねるガイアの指先に、おうるっくの方からも擦り寄っていく。その姿はまるで甘えているようで。
「随分と懐いているな」
「ん?まぁ、知り合ってから長いからな」
なるほど、空白があるとはいえ数年来の付き合いは伊達じゃないということか。
小皿にジュースのおかわりを注ぎながら、ディルックはおうるっくの様子を窺った。足を身体の下に折り畳んで平たく座っている姿を見るに、普段よりもリラックスしているに違いない。
「まだモコはおうるっくに触れていないのか?」
「そうだね、君の次は誰が触れるかと話題になっているよ」
「ふぅん、旦那様も?」
予想できていた筈の問いだったが、ディルックは押し黙ってしまった。なんと返すのが正しいのか、自分でも正しく把握できなかったからである。
確かにディルックはまだおうるっく自身の意思で触れるのを許されたことはない。しかしおうるっくはワイナリーに住み着いた野生の、人に例えるならば隣人だ。ディルックにしてみれば、かつて飼っていた亀のように愛玩したいという欲がある訳でもない。
「興味はないよ」そんな類で応えようとして、しかし先程からおうるっくと仲睦まじい様子のガイアに対して感じたのは確かに羨望であると、この時漸くディルックは気付いたのだ。
不本意にも生まれてしまった沈黙は、ガイアからの問いに対しては雄弁に是を語っている。
自分が優位な状況にさぞ意地の悪い顔をしているのだろうと思いきや、ディルックがちらと盗み見たガイアの横顔は、やけに真摯な光を携えておうるっくを見ていた。おうるっくもまっすぐな視線でもってそれに応じている。
二人の間ではいったいどんな疎通が行われているのだろうか。
吸い寄せられるように伸ばしたディルックの指先は音も気配も最小限に顰められていたが、しかしおうるっくは素早く振り向いた。
「…旦那様。なにも難しい事じゃない。こいつだって旦那様が危害を加えてくるような奴じゃないとはもうわかっているだろうさ。あとはもうお前が、『ただのディルック』が、どんな意図でもって触れたいのかを、おうるっくにわかってもらうしかないな」
「ただの、僕?」
「そう。モンドの三大貴族だとか、ワイナリーのオーナーだとかの威光は役に立たないんだよ、こいつの前ではな」
お前、俺が騎兵隊長だなんてわかっちゃいないもんな?そう言って笑ったガイアに、おうるっくはこてりと首を傾げていた。はたして通じているのかいないのか。
「お前は、…モンドを離れていた間はともかく…、生まれてこの方ずっとラグヴィンド家の跡取りで、周りの方がお前の意図に沿おうと合わせることが多かったはずだ。おうるっくはその辺を全く鑑みないから、お前からすればどうしてもやり辛さが生じて、だから自然と気配が張りつめているんだろう」
旦那様でも緊張するんだな。皮肉に似た言葉にしかし嘲りの色はない。ディルックは不思議と落ち着いた気持ちでガイアの推理を噛み砕いた。
ディルックを指し示す呼び名はいくつもあれど、家名も称号も彼の前では意味をなさない。なるほど理解できる。
けれど逆に、浮上してくる疑問があった。
「では、君は…」
「うん?」
「君は、おうるっくとどうやって仲良くなったんだ」
養子とはいえ父はガイアをディルックと同じラグヴィンド家の息子として愛と教養を与え指導した。ディルックと同じ環境で育ったガイアが、容易くおうるっくと触れあえる理由は何なのか。彼は昔から人に合わせるのが上手くて、そして人をいいように動かすのも得意だと知ってはいるけれど、果たしてそれだけなのか。
…昔はともかく、今のガイアのことも変わらずにおうるっくが受け入れているのは何故か。
「最初はな、…ただ、寂しかったんだ。いつも一緒だった家族が大きな期待を背負って騎士団に入って。なんとなく、置いて行かれたような気持ちになっちまった。あの家の誰もそんなつもりは無いのはわかっているのに、さあ俺はどうするんだって突きつけられているような気がして…」
ガイアはそこで言葉を切るとぐいとグラスを煽る。それから空になったグラスを揺らして二杯目を催促した。ディルックが思わず眉を顰めると、「素面でこんなこっ恥ずかしい話ができるかよ」と唇を尖らせた。頬が赤らんでいるのは酒の所為だけではないのだろう。
グラスに注がれる薄琥珀の液体の中で気泡が弾ける。ガイアの視線の先は泡沫の向こう側、過去への回顧に馳せていた。
「息苦しいと思った時は、一人で葡萄棚の陰に隠れてた。そんな時に、その辺の草むらから飛び出してきたのがコイツだったよ。見たことない生き物が『何だコイツ、なにしてるんだ?』みたいな顔してじっと見てきてさ。勿論言葉も通じないし何考えてるかもわからない。でもそれが、なんだか妙に心地よくてな」
おそらくまだ幼かったであろうおうるっくは、葡萄棚の下で蹲るガイアを見上げて、見上げて、見上げすぎてころんと尻もちをついた。きょとんと呆けたその姿がなんだか可笑しくて笑ってしまって。
大丈夫か、と伸ばした手は避けられなかった。ただの寂しいこどもが、寂しさを拭うために差し出した手。それをおうるっくは受け入れた。
今は人当たりの良すぎる笑顔で覆い隠したガイアの内側を、きっとおうるっくは知っているのだろう。ディルックから見れば変わってしまったように見える事も多いけれど、おうるっくは昔から変わっていない大切なところをすぐに見抜いて、だから変わらずガイアを信頼している。
…いつか自分も見抜けるようになるだろうかと、ちらと顔を出した羨望には蓋をした。
「…おうるっく」
おうるっくはディルックをじっと見詰めている。
——見定められている。どんな人間か、何をするのか、澱みないその目で。
どんな意図でもって触れたいのか。考えてみれば簡単だった。
ディルックはただ、おうるっくに伝えたいことがあった。
ただのディルックが大切にしているワイナリーを、居心地のいい住処として選んでくれたこと。トゥナーやアデリンを助けてくれたこと。葡萄を守ってくれたこと。またガイアとあの頃の話をするきっかけをくれたこと。
おうるっくがしてくれたその全てが嬉しかったのだと、感謝と親愛を伝えたい。その気持ちが届くように、まっすぐにその目を見返して。
「いつもワイナリーの皆を気にかけてくれて、ありがとう」
ディルックの掌がまろい頭に、触れる。
優しくというには少しばかり力の強いそれを受け入れて、おうるっくは満足げに「フン」と鳴いたのだった。