翔玲 「クリスマスにイルミネーションデートするやつ」「……さみぃ」
キンとよく冷えた夜だった。
冬の底冷えするような寒さが外で待つ翔平の体の芯を冷やしていく。
巨大なクリスマスツリーの形のイルミネーションをバックに、手をポケットの中に突っ込み、ただひたすら待ち人を待っていた。
12月24日の夜。
普段よりもずっと人の流れが多くなるこの日にわざわざ待ち合わせをしようと提案してきたのは玲音の方だった。
予定時間からすでに15分は経過しており、それより前から待っていた翔平の手先はとうに冷え切っていた。
(……あと5分待ってこなかったら、いいかげん帰るぞ)
と5分前にもそう思った。
冬の寒さが息を白くする。
自分の息が夜に溶けるのを見ながら、翔平は目の前の光景をぼんやりと見ていた。
1808