【5/28 COMIC CITY大阪 新刊サンプル】そうたとともやとサダイジンサンプル①
バイトからの帰り道。途中で合流した芹澤と共に自宅へ帰り、家のドアを開けた瞬間だった。
いつも通りの、何も変わり映えの無い自宅だと言うのに、玄関のドアの向こうはまるで異世界のような、踏み入れてはいけないような、だけど気を抜けば身体が持っていかれそうな、心をかき混ぜられるような感覚がした。
そして、俺はこの感覚を知っている。幾度もなく経験したこの空気は、そう、まるで後ろ戸となってしまった扉の前に立った時の、後ろ戸の向こうに広がる常世を覗いた時に纏う空気そのものだった。
しかし、何故自宅が_?自宅のドアが後ろ戸になっている気配は微塵も感じない。鍵だって反応していない。後ろ戸ではないけど、常世と等しい何かがこの部屋にはある。
2464