名探偵は少し疲れ気味らしいあ!どうもどうも!
今日は小包が届いてますよ!はい、サインはこっちにお願いします。
……え?ああ!この前のサイン貰い忘れで僕が大目玉くらうかもって話ですか?いやぁ、ご心配いただきありがとうございます!
あの後ね、他の配達が全部終わったあと、帰る前にリーズニングさんの事務所に寄ったんですよ。あの日は配達物が多かったもんですから、すっかり夜になっちゃってたんですけどね。
でもですね、なんとちょうど私がお邪魔したタイミングで、リーズニングさんも外出しようとされてたんですよ!無事、サインもいただけまして。いや〜ギリギリでした、間に合って本当によかったです!
……あ、でも、そういえばあの時のリーズニングさん、なんだかいつもとちょっと雰囲気が違ったような気がします。
うーん、具体的にこう!って言葉にするのは難しいんですが……なんといいますか、僕が声を掛けた時、少し驚いていたように見えたんですよね。いつも堂々としてて、寡黙で、何事にも動じなくてキリッとしてるリーズニングさんにしては珍しくて……やっぱり夜に急に声を掛けたのがまずかったんですかね?
その後も、僕が受け取りサイン貰えますかって聞いたら妙にそわそわしていたというか、しどろもどろ?って言ったほうが近いかもしれません。そんな調子で
「ああ、ええと……サイン、ですよね。いいのかな書いて」
って言うから、
「お願いします。今日のは全部リーズニングさん宛てでしたんで」
って返したんです。いいもなにも、リーズニングさんのサイン貰わないと僕帰れないですからね。暗かったし下からだったのであれですけど、少し困ったような表情をされてました。でも僕もサイン書いてくれなきゃ困ってしまうので……勿論ちゃぁんとサイン貰ったんで、僕は無事に社に戻れましたし、大目玉も食らいませんでしたよ。
…………ん?あれ、リーズニングさんて、僕より背高かったっけ……?いや、さすがに気のせい……ああいえ、なんでもないです!多分気のせいですね。
今思い出したんですけど、あの時リーズニングさん、声もいつもより少しだけ高かった気がします。これも僕の気のせいかもしれないですけど。
あ、ひょっとしてリーズニングさん、疲れてたんでしょうか……。昼にホワイトさんが具合を悪くして、きっと大変だったでしょうし。ああ、絶対そうです!そうに決まってます!
あー!僕ったらついいつもの癖で、そのままリーズニングさんに雑談振って付き合わせちゃったんですけど、絶対ダメでしたよね!?お疲れで、しかもお出かけ前だったのに!はぁ、しがない配達員とはいえ、お客様相手に……次会ったら誤ります。ホワイトさんへのお見舞いも持っていかないとですし。
え?僕の話を聞くのは楽しい?あはは、ありがとうございます。
ありがとうついでにもう一つ、夜中にリーズニングさんがお一人でどこに行こうとしていたのか、気になりませんか?なりますよね!僕も気になったんで、聞いてみたんですよ。ま、教えてもらえなかったんですけどね。すみません期待させて。まぁでも、そりゃあそうですよね。探偵さんなんだから、おいそれと他人に自分の行動なんて明かせないに決まってます。秘密の調査とか、張り込みとか……第三者が知っちゃダメなやつも多々あるでしょうから。かっこいいなぁ〜。
おっといけない、また話し込んじゃった。すみません長々と。よし、じゃあ僕は次の配達があるので。ではまた!
──────馴染みの配達員との談笑より抜粋。