探偵事務所の新人さんはちょっと身体が弱いらしいあ、こんにちは!はい、お手紙ですよ〜っと。
そうだ。そういえばさっき、リーズニングさんの事務所に行ったときの話なんですがね。トゥルースさんが、随分と沢山の書類を整理していたんです。おそらく過去の事件に関わる資料なんでしょうね。リーズニングさんは有名な探偵さんですし、資料もまぁとにかく沢山ありまして。
でもトゥルースさん、うっかり資料を詰めた箱を落としちゃったんですよ。なんというか、ちょっとおっちょこちょいなところのある人なんで、まぁ、よくあるっちゃよくあるんですけど。ちょっとかわいいですよね。
って、そうじゃなくて。
その時にね、これまでのリーズニングさん宛の手紙やら何やらが一緒に散らばっちゃったんですが……その中に、ほら、あの……メロディー家の当主様からの手紙も含まれてまして。僕、目はいいんですよ。それにメロディー伯爵様の手紙はいつも、他では見ない封筒に入ってるので。ひと目で気付きました。きっとオーダーメイドですよね。とにかく、あれはメロディー伯爵様からの手紙で間違いありませんでした。
でね、その伯爵様からの手紙が落っこちて、床を滑って、新人の足元までパーッてとんでったんです。
なんていったかな……なにぶん最近入った人だから、ほとんど会話したことがなくて。たしか……ホワイトさんだったかな。読んで名のごとくっていうか、ほんとに髪も服も真っ白い人なんですよ。どんな人なのかはよく知らないんですが、でも優しそうな雰囲気の人でして。自分の足元に来た手紙を拾って、トゥルースさんに渡そうとしたんです。
……そしたらね、急に、本当に急に、突然ホワイトさんの様子がおかしくなったんですよ。固まって動かなくなっちゃって。拾った手紙も落としちゃうし。そのまま床に座り込んじゃって、いや、もうあれは座るっていうよりくずおれるって感じでしたね。そのうえ過呼吸まで起こしちゃったもんだから、もう僕びっくりして。
どう見ても只事じゃなかったんで、お医者様呼んできましょうかって言ったんですけど。リーズニングさん、大丈夫だから、って仰って。まだ受け取りのサイン貰ってなかったんですけど、流石に言い出せる空気じゃなかったし、トゥルースさんもリーズニングさんもそっちの対応でいっぱいいっぱいだし。絶対僕がいたって邪魔なだけじゃないですか。
……それにこう、なんか……なんていうんだろう、なんとなく見ちゃいけないものを見てしまった気がして。だからとにかく今は立ち去るべきだなと思って、失礼します!って急いで事務所を出てきちゃったんです。
うーん、余計なお世話かもしれないけど、やっぱりお医者様呼んだ方がよかったですかね?ホワイトさん、なんともないといいんですけど。
にしてもなぁ……今日中にリーズニングさんから受け取りサイン貰わなきゃ、僕帰れないんですよねぇ。今日の夜くらいにもっかい顔出したら貰えるかなぁ。これ、受け取りサイン貰い忘れたなんて上司にバレたら、大目玉ですよ……
──────馴染みの配達員とのやり取りより抜粋。