現実世界で意識を失った零が昔の夢を見るお話そう、それは指名手配犯を追いかけてる最中。犯人とぶつかり車道に投げ飛ばされた少女を庇うように抱き込み頭から車にぶつかられたんだっけ。頭はまずかったな、車に足とか背中とかを向けるべきだった。判断力の悪さを反省する。あぁ、流石に意識が朦朧としてきた。立ちたいのに頭も体も言うことがきかない、視界も薄くなってきた。微かに遠くから風見の声が聞こえる。あーまて、揺すらないでくれ、頭に響く……。声を出して止めたいが自分の声も聞こえなくなってきた。意識を失ってる暇なんてないのに。今すぐ犯人を捕まえ、今日中に仕上げなきゃいけない資料が残念なことにめちゃくちゃあるのだ。だけど気持ちとは反対に意識は体がコンクリートに埋まってるんじゃないかぐらい重く僕を闇の世界へ誘導した。
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