揺曳 薄暗い館内を順繰り練り歩く二人。
窓の代わりに埋め込まれた水槽を転々と覗き込むほろかと、そんな様子ばかりを気にして展示物には一切の関心を向けないスコープ。
しかし客観的には[[rb:一人 > ・・]]な為かそこに会話らしきものは無く、水族館特有の賑やかな静謐さに馴染んでいた。時折交わるのもほんの数瞬の視線ばかり。後はたまに独り言かも判断つかぬほろかの言葉のみが発される程度。
そんなゆったりとした時間が二人の間には流れている。
「わぁ……」
角を曲がった所にある円形の大きな水槽を目にしたほろかは小さく感嘆の声を漏らした。
中では無数のクラゲがふわりふわりと水流のままに漂っている。その白く透き通るゼラチン質をより映えさせる為の青い光──硝子へ近付くほどその光景に見とれる顔も照らしていく。
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