【モニター越しのスーパーモデル】 テレビに知らない男が映る。中性的で端正な顔立ち。その細身のモデルは長い脚で花道を颯爽と歩く。名をハイドと言うらしい。偶然にも今俺の隣ですっかり空気が抜け、ぺしゃんこになってしまっているのもハイドという名前だ。そういえば彼もまたモデル業をやっている。
「どうだ、私の仕事ぶりは」
「……これ、本当にハイドさんか?」
「失礼な奴だな。どこからどう見ても私だろう」
視力が落ちたんじゃないか? そう笑うと俺の下瞼をぐい、と剥き瞳を覗き込む。まったく、無礼な吸血鬼だ。モニターの奥の繊細そうなモデルは間違ってもこんなガサツな真似はしないだろう。
テレビの奥では次々とモデルたちがランウェイを闊歩する。高級ブランドの新作発表とやらは一体どこに着て行くためのものなのかさっぱり分からない……流行の最先端の衣服を彼ら彼女らに纏わせて、煌びやかだった。
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