大学生にとって夏休み前というのは地獄である。
地獄というのは、長期休暇前のレポートの量が半端ないということだ。
俺、塚本太郎は今大学2年生。
そして夏休み前、恋人の家でひいひい言いながらレポートに明け暮れている。
「ぅぅ"〜〜…」
「…塚本、レポート終わりそうか?」
「ぁ、か、和さん…。っ!ありがとう…ございます、」
この人は橋内和さん。俺の恋人
社会人で俺の通っている大学のOBで、サークルの集まりで偶然知り合った。
和さんは俺にスープを渡してくれた、そして俺の横…いや、もはや真隣、体が触れ合う距離までくっついてレポートを覗く。
「すみません和さん、お家に来てまでこんなこと…」
「いいや、構わない。そのレポート提出期限近いだろう?…それに、それでもいいから来いと言ったのは俺だ」
「〜〜そ、そうですけど…」
社会人と学生の身分では、どうしても会うタイミングというのが合わない日がある。
だからこのように、会える日には絶対に会いたいと2人で相談して家でぬくぬくしている。
「……ふんっ」
「…?ど、どうかしましたか、和さん」
「…なんでもない」
短い眉をきゅっとしてぷいっとそっぽを向く
そんな所が、良い意味で年上っぽくなくてとても可愛らしい。
「そのレポート、難しいのか?」
「ううん…難しくはないんですけど…指定字数が多くてそれ超えるのが大変ですね…」
「…これが終わったら、お前はどうするんだ?」
「え?……そりゃあもちろん、和さんと過ごします。」
「何を」
「え」
「…、な、なにをして過ごすんだ」
「え、そ、そりゃあ…か、考えてなかったですけど…。和さんは何かしたいことありますか?」
「…………っ…」
そう聞くと和さんは、眉がへちょ…と下がってもじもじとしだす。そして俺の腕をぎゅっと抱きついた。
「…せ、セックス…とか、するのかと…」
「………!?…せ、セックス………し、シますよ。もちろん…」
「!」
「…すぐに終わらせます。だから、もう少し待っててください。」
和さんとはセックスもする、というより会うと絶対セックスしてしまう。俺もそういうことは嫌いじゃないし、和さんも俺とのセックスが好きなようだ。
だから、和さんがおねだりをしてくれたからには
俺も早く終わらせないと
そう思っていたのに
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「…たろう、まだか?たろぅ、」
「ッ、ま…まだ、です…」
「んぅ、もう少しって言ったぞ…?」
ぷ、と頬を膨らませてパソコンを打つ俺の肩に顎を乗せて甘えてくる和さん
かわいい、凄くかわいい
最近仕事も俺の勉強とかも忙しくて休みが合わなかったから、和さんも今かなりギリギリなんだろう。
俺ももうぶっちゃけやばい。
「…パソコン、ずるいぞ」
「んぇ?」
「…太郎にこんなに見つめられて、」
「ほあ、」
殺し文句を言われた。胸の奥がどきゅんとなって、口から変な声が出る。
「……俺だって、太郎に沢山見られたいのに」
「…っ〜〜〜〜…!和さん、!!」
もう堪らない、
そう思って俺は和さんを押し倒した。
床だけど、ふわふわの絨毯が敷かれてるから
多分大丈夫なはず
「っ、♡……たろう、レポートは?」
「…こっちの方が大事です。期限…あと2日はあるんで、……それまで和さんのことだけ見てます。」
「…また、俺のこと見なくなるのか?」
「!〜俺に限ってそんなことしないの、和さんがよくわかってるでしょ?」
「……ふふ、♡」
頬をほんのり赤らめて和さんはくすりと笑った
悪戯というか、小悪魔というか…
この人には多分、一生敵わないなと思いながら俺は付けっぱのパソコンを無視して
和さんに口付けた