エピソード0 修正版・回想、ティムとの酒盛り「希望」
拷問、処理、消し、脅し、工作。
添哥に命令されたら、何でもやった。
添哥の目が、好きだった。
射抜くように冷たくて、でも俺のことを“使い物になる”と見てくれていた。
添哥の目配せひとつで、何をすべきかがわかった。
言葉なんていらなかった。
だって俺は、添哥の“犬”だったから。
いつだったか、珍しく二人で酒盛りに誘われた日があった。
打ち上げというには静かすぎる、誰もいない組の屋上。
添哥はいつも飲んでるウイスキー──Midlothianを、俺はジン──White Steel。後はコンビニで買ったツマミだけ。
月明かりが白くて、妙に心臓の音がうるさかったのを覚えてる。手持ち無沙汰になると自分の爪を眺めてしまうのは俺の癖だ。
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