暇だなァと煙草を吸いながら呟く。この部屋には娯楽が少ないのだ。テレビはあるが大した番組はやっていないし、新聞など読んでもつまらない。女の子でもいればまた違うだろうが、おじさんがいるので呼ぶ気にもなれない。今、懇意にしている相手はいないが。別に、暇が嫌いなわけじゃない。むしろ何もしなくてもいいのは楽で最高だ。だが、限度というものがある。おじさんの給料日まですることがないなんて、最悪すぎる。こうなるなら、給料日くらい把握しておけばよかった。というか、おじさんが最初に教えるべきだ。僕の金なのだから。
「暇なら旅行にでも行かないか」
「……そんな金どこにあるんです」
「それはどうにかする」
珍しいな。おじさんが僕をどこかに連れ出そうとするなんて。子供の時以来だ。あの頃は、百貨店や祭りなど散々連れ回された。面白くないと言っても聞かなくて、面倒だったっけ。あぁでもおじさんの金で食う菓子や売店の食べ物は美味かったな。
3079