パンジー伏せられたルチルの瞳から溢れた涙。
私より深く関わり,私より感受性高かった私の半身。
「ルチル!!」
ピキピキと微かな音を立てて大切な人が石になっていく。
途切れていく繋がり。
微かに目が合えば『ゴメンね』と言ったようで。
止まらない石化に目の前が真っ暗になっていく。
いや……!
失われていく
やめて……!
消えていく
私を一人にしないで!!
心が,体が、何もかもが、真っ黒に塗り潰される
完全に石になってしまった半身の姿
半身を奪ったのはダレ?
凍り付いた心
半身がいない世界になんかいらない
グッと槍を持つ手に力が入る
みんな、壊れてしまえ
『 アイリス,落ち着きなさい 』
「っ!!!」
耳に届いた声。
分からないのにどこか懐かしい声。
色が戻る。
視界に飛び込んでくる光の洪水。
無数の光が石となったルチルを包んでいく。
ゆっくりと、石化が消えていく。
途切れた繋がりが戻ってくる。
「アイリス」
「ルチルっ!!!」
優しいターコイズブルーの瞳が私を写せばしがみつく様にその体に抱きつく。
半身が戻ってきた
生きた暖かさが伝わって、私は子供の様に泣き続けた。
パンジー
花言葉 『ひとりにしないで』