「こんにちは〜!」
「あら!隆くん、どうぞ〜」
扉の向こう側からガチャリと鍵の開ける音がしたのでドアノブを引く。顔を出してくれたのは幼なじみの母親である優紀ちゃんだった。
「注文もらってたもの届けにきたよ」
片手を上げれば持っていた袋ががさりと音を立てた。いつもありがとうと袋を受け取った彼女にそれじゃあ俺はこれで、と帰ろうとすると待ってと引き止められる。
「花火…?」
「そう!今ね、みんなで花火しましょって話してたの」
花火なんていつぶりかしら!そうはしゃぐ優紀ちゃんに、よかったら少し上がっていかない?と言われ半ば引っぱられる形で家へお邪魔することになった。靴を脱ぎ、玄関の端に揃えて置く。そこには自分が脱いだ靴と大して変わらない大きさの靴が一足置いてあった。
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