心中🫖🌸「ねぇ、桜くん。」
二人きりの部屋の中で彼は小さく呟いた。
「オレと一緒に全部終わりにしない?」
嫌に響いたその言葉にオレは目を見開いた。
いつもより暗い彼の笑顔がオレを捉えていた。
「全てを棄ててオレと一緒に死んでほしい。お願い。」
彼の切実そうな声にオレは迷いなく頷いた。
初めて言われた彼のお願い。断る理由なんか、オレには一つも無かった。
彼の笑みが深くなってオレもつられて小さく笑った。
その願いはオレにとって唯一の救いだった。
〜〜〜
彼は迷うこと無く頷いてくれた。
そうしてくれるだろうと思ってはいたがやはりどこか嬉しく感じてしまう。
彼自身が気づいていない変化にオレだけが気づいていたこと、彼は知らないのだろう。
ここ数年、いや、三年生の冬が近づいてきた頃から、彼はおかしくなってしまった。
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