雪の夜「昨日冷やした身体で出歩くというのか!?今日は休め!」
「洋平の腸はアイツに盗られたままだ。それに俺はいつも通り動ける!」
月島が捉えた二つの声はある一等卒とそれを振り切ろうとする二階堂浩平だった。
昨日の夜、拘束を解いた杉元を逃がし兵舎に戻ると鶴見中尉と二階堂は同じく杉元を追ったという。雪を被り鶴見中尉の馬に乗せられて帰ってきた彼は洋平、杉元とうわ言を呟き介抱されながら風呂に入り寝室へ戻った。
誰が止めても聞く耳を持たない二階堂に月島はある提案を持ちかける。
「今日の夜、俺と一緒に行くなら許可してやる。昼間は大人しくしていろ」
月島は杉元が投げた洋平の腸を見ているし通った道もそう変わらないだろう。月島の言葉通り夜まで待った二階堂は朝とは打って変わって落ち着きを取り戻していた。
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