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    かんぺい

    かんぺいの小説もどき置き場

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    かんぺい

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    漫画描きたいから先に小説もどきを書くよ

    大正マナテツ調査隊!?191X年、とある平和な都市にて。

    「おーい緋八!ちょっといいか!」
    「あ、はいすぐ行きますー」

    真っ白な軍服に身を包んだ黄色に青の差し色入った髪の男、緋八マナは今日も憲兵としての責務を粛々とこなしていた。

    「どないしたんです山田さん。今日特別何かありましたっけ?」

    山田と呼ばれた男は憔悴した面持ちだ。何かあったのだろうか、緋八は少し不安になる。

    「いや、そういうのではなくてな…実は二番地の辺りに何やら化け物の目撃情報があったらしいんだ」
    「はぁ、化け物ですか」
    「あぁ、あの辺って昔からそういうの多いだろ。最近目撃情報が多くなってきたし人さらいまであったんだと!そんで上も見過ごせなくなって調査しろって命令が下ったんだ」
    「さいですか…え?まさか俺にしろって言うんです?」
    「……俺本当にそういうの無理なんだよ…情けない話だがここは緋八に任せたい!頼む!この通りだ!」

    そう、この山田という男は怪談の類が大の苦手で、過去の夜に行われた捜査でも裸足で逃げ出すという逸話をもつ男なのである。

    「はぁ…分かりました。でも次は無いですからね?こんな命令受けんことよぉ肝に銘じとってください!」
    「助かるよ緋八〜〜っ!!ありがとう!!昼飯はあそこのカフェーにしよう!俺の奢りで!」
    「ほんま!?……ってこれで流されるほど軽い男やないですよ俺は!」


    同じ頃、とある作家の元で書生をしている男が悪態をつきながら街を歩いていた。

    「〜ったくあんのクソジジイ!俺の事散々こき使いやがって〜っ!俺は書生であって小間使いじゃねぇっての!」
    「おーおー今日は一段と荒れてんねぇテツ!」
    「あれ、ウェンくんじゃん!今日休みだっけ?」
    「そだよ〜今日はお店の買い出しに来たの」

    書生の男、改め佐伯イッテツは行きつけのカフェの店長、赤城ウェンと仲良さげに話している。

    「そういえばさ〜お向かいの鈴木さんから聞いたんだけど、二番地のあたりなにやら怪しいらしいよ〜」
    「え?どういうこと?仏さんでも見つかった?」
    「そう!なんでも化け物が出るらしくてさ、それにやられたんじゃないかって」
    「なんてこったい、そりゃ大事じゃないか!…でもこれいいネタになりそうだな」
    「ふふ、テツならそう言うと思った。でもさ〜今回は普段の肝試しとは訳が違うんだよ、やめといた方がいいと思うけどな。テツ鈍臭いし」
    「いーや僕は行くよウェンくん!これは行かなきゃいけない、そう勘が告げているんだ!てか鈍臭いってなんだい!」
    「まーそれは置いといて、テツが地雷踏みに行くアホなのは分かってるからこれあげるよ」
    「んも〜ウェンくん火力高いんだから…ってえ?なにこれ」
    「その鈴木さんに貰ったお守り〜なんかこれ持って二番地に行くといいんだって」
    「え、いいのかい貰っても」
    「僕はそこに行かないから持ってても意味無いでしょ?いらないなら店に飾るけど」
    「いる!いります!ありがとうウェンくん!お母さん!」
    「こんなでけぇ息子産んだ覚えないです〜…まぁ気をつけてね、テツ」
    「うん!ありがとう!」

    佐伯は赤城から貰ったお守りを丁寧に懐にしまい、二番地での取材に向け鈴木さんや街の人から話を聞くことにした。


    「んぇ〜っと山田さんの話によるとこの辺か…?」

    緋八は山田に持たされた地図を頼りに目撃情報があった二番地の裏路地に来ていた。

    「一見普通の市街地やな。バケモンがおったっちゅう証拠みたいなんも見当たらんし…ホンマにおったんか?」
    「確かにここにいたらしいんだよね、でも憲兵さんの言う通り建物に傷もついてないし足跡だってない。んー…これは浮遊するものか?」
    「誰や!!?なんやお前!?!」

    緋八が突然の声に驚き後ろを振り返ると書生らしき男がそこに立っていた。

    「え、あぁごめんなさい!!僕は佐伯イッテツです。とある作家の元で下積みをしているしがない書生です。はい。」

    さっきの落ち着いて分析していた姿とは打って変わってアワアワと弁明を始める佐伯だが、緋八はその名前に聞き覚えがあった。

    「イッテツ…?あ、リトの友達の?」
    「え、リトくんのこと知ってんの!?…あっごめんなさい馴れ馴れしくて」
    「かまへんよ!知っとるも何も同僚やで。俺は緋八マナ言います〜名前だけでも覚えて帰ってな!気軽にマナって呼んでや〜同い年やし。」
    「君がマナくんなんだ!リトくんから聞いてるよ、超面白いコメディアンみたいなひとがいるって。1回話してみたかったんだ!」
    「ほぉ〜それは光栄やなぁ、状況が状況やなかったら明日にでもカフェーに行こや言うとったんやけど」
    「そうだ、マナくんはどうしてこんなとこにきたの?ここの怪異を探しに?」
    「そうそう、なんでも人死が出たらしいからな、流石に見過ごせんわ言うてお上が動き出したんよ、そんで俺らにお鉢が回ってきたって訳や」
    「はぁー憲兵さんも大変なんだね」
    「そういうイッテツは?」
    「僕は小説のネタになりそうだなと思って調査しに来ただけですね、はい。」
    「怪異についての本書いとるん?」
    「そうだね、最近はそういった怪異、伝承について書いてることが多いかな。割と楽しいんだよねこれが」
    「へぇーっ俺にはよぉわからんわ」
    「マナくんも読んでみたら面白さがわかるよ!」
    「おん、今度おすすめ教えてや〜。…んでここの怪異ってどんなんか見当ついてたりする?」
    「うーん、僕もさっき着いたばっかりだから詳しいことはわかんないけど少なくとも人の呪いでできた幽霊、怨霊みたいな俺たちが触れられない感じの怪異っぽいんだよね…ここの雰囲気もジメジメしてるし」
    「ん〜せやなぁ、まぁ狡猾な人間の場合もあるし色んな可能性考えていくか」
    「そうだね」


    「暫く現場あたり見てみたけどなぁんも起こらへんしなぁんもあらへん!」
    「んー…時間帯の問題かな…怪異を見た人みんな丑三つ時ぐらいだったらしいし」

    今は9ツ半、午前1時くらいである。

    「ほなあと半刻くらいか?ここら辺で待っとってみる?」
    「そうだね、ちょっと張り込みしてみようか」

    緋八と佐伯は近くの荷に腰を下ろした。

    「ヨイショっと……こんなこともあろうかとちゃんと用意してたんだよね〜じゃん!あんぱん」
    「え!えぇなぁ〜俺そんなん思いつかんかったわ…」
    「俺だけ食べるの気まずいからマナくんにも半分あげるよ、ほら」
    「ええの!?やった〜!おおきに!」
    「ここの店まじで餡子美味すぎて俺常連になりつつあるんだよね」
    「え、待ってめちゃくちゃ美味いやん!なぁテツこれどこの店!?」
    「三番地のバー赤城ってとこ!あそこのイチオシは唐揚げなんだけどこの餡子も良すぎるんだよなぁ〜」
    「バーやのにあんぱん売っとるん?」
    「昼はカフェーなんだよ、最近昼間は専らそこにいるんだよね」
    「へぇ〜!ええとこ教えてもろたわ、今度俺も行ってみよ!」

    2人があんぱんを食べ終わる頃、路地の奥まったところから何かがきしむような音が聞こえてきた。

    「マナくん、今の聞こえた?」
    「おん、なんかおるわ」

    2人の間に一気に緊張が走った。奥にいるそれは2人に気づいており近づいてきているようだ。

    「………っマナくん!」
    「な…!」

    2人がそれに気づくや否やそれは緋八の腕に己の髪の毛を巻き付けた。どうやら人型の怨霊らしい。

    「動かないで!すぐ切るから」

    佐伯が懐刀で髪を切ると巻きついていたものはハラハラと簡単に落ちた。

    「こいつ…思ったより危ないかも」
    「せやな、首にでも巻き付かれたら終わりや。でもこれ髪切ればすぐ解けるってわかったし割といけるんとちゃう?」
    「そうかな…」
    「せやせや!ほないっちょかましてくるわ!」

    そう言うや否や緋八はそれに向かって細剣を向け切り込んで行った。だがそう簡単には懐へ入らせて貰えず、髪の毛の猛攻に二の足を踏んでいるようだった。

    「くっっそなんやこいつ邪魔やな!」
    「…?マナくん!そいつの額になんかない!?」
    「額…!?あ、なんか石っぽいのがはまっとるわ!」

    それの額には赤黒い宝石のようなものが嵌っているのが佐伯にはハッキリと見えた。佐伯はきっとあれが化け物の核だ、と確信した。幸い手の中には対化け物用にと改造した回転式拳銃がある。

    「うわぁ!?くっそ…」
    「マナくん!!」

    それは緋八の身体に髪の毛を巻き付けて上へと持ち上げた。しかしそれの額の前のものが無くなり、遠慮なく打てるようになった。

    「…すぐ助けるからね、マナくん!化け物め!喰らえ鉛の味をよぉ!!!」

    佐伯はそれの額目掛けて銃弾を打ち込んだ。見事額の宝石が割れ、悲痛な叫び声を上げながらそれは消滅した。

    「マナくん!大丈夫かい!?」
    「おん、ちょっとかすり傷ができたくらいやわ…てかテツのそれ何?」
    「え、あぁこの拳銃のこと?化け物向けに改造したただの拳銃です!ほんと疚しいもんじゃないんだよ!ほんと!!」
    「んはは、別に取り締まろうって訳やないで!それで俺の命助かったわけやし」
    「はぁ、良かった…てかあの化け物完全に消えた?中には残穢置いていくやついるみたいだから一応見ておかないと」
    「おん…でもなんともないみたいやで」
    「ん、ならいいんだ。はーーっ良かった化け物が消えて!マナくんありがとね!これで無事いいものが書けそうだよ」
    「そか、テツは小説のネタ探しに来たんやったっけ。だいぶ現実味あるやつ書けそうやんな?俺も任務完了って報告出来るし良かったわぁ」
    「それじゃそろそろ帰ろっか、ふぁ…緊張が解けたから眠気が…」
    「せやな〜ほな気ぃつけて帰りや、またな!テツ!」
    「うん、またねマナくん!」

    こうして2人の化け物退治も無事終わり小さな平和が守られたのであった。


    平和になったと思ったが…?

    「テツ〜〜っ!!!頼む!!この通りや!!」
    「嘘でしょなんでそうなんの!?!?ねぇリトくん笑ってないでマナくん止めてよ!!」
    「ちょっと3人ともうちの店でそんな騒いでんじゃねぇよ〜」

    続くかもしれない
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