ガコン、と戸の向こうで音がした。次いでバイクの質の悪いエンジン音。風がびゅうと大きく吹いて、立て付けの悪い窓が少しぐらつく。恐らく宅配だろう。カレンダーを横目に見ながら、ラファウはタイピングの手を一瞬だけ止めた。15日。定期便がまとめて届く日付だった。中指がキーを叩く。
ガレージの奥に積んでいるミネラルウォーターの在庫はどうだったか。まとめて出しておかないと、後で困る羽目になるのは間違いなく僕だ。もし足りなければスーパーでまとめて買わなくちゃいけない。
少しばかりの逡巡を引き延ばしながら、主題のスクリプトを丁寧に丸くしていく。
「よし、ここまででいいか……」
エンターキーが沈む。軽く息を吐きながら、青い液晶を青い瞳に反射させて推敲する。
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