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    さくらもち

    @skrc_OvO

    肌面積がごまかせないもの等はこちらへポイポイします。※全て非公式のファンアート・ファンフィクションです。
    MXTX先生作品について語り合いたい~:)
    特にさはんに沼っています.
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    さくらもち

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    こんな感じに始まる冰九が見たい、、、
    この二人、仙魔途時空だと岳清源が死んだ時点でゲームオーバー感があるから(甦らせることもできそうだけど)、いつもどちらかの記憶消して互いを知るところから始めてしまう、、

    #svsss

     カツン、カツン
     地下牢に足音が響く。沈清秋はとうの昔に半分になった視界をあげることもなく、足元を虚に眺めていた。
     頭上から舌打ちが聞こえ、髪を引かれて顔を上げても、沈清秋の瞳は目の前の男――洛冰河を捉えてはいなかった。
    「あ…ぁ…」
     舌のない口からはか細い呻き声が断続的に発せられている。だが言葉を成さないそれらが何を指しているか、洛冰河には分かっていた。
    『七哥』
     玄粛剣の破片を見せつけて以来、沈清秋は今までの反抗的な態度が嘘のようになくなり、ただ虚に「七哥」と呟くようになった。
     (つまらない)
     舌を切り落としても、苦痛に呻くことも、憎しみに駆られてこちらを睨むこともしない。生きているとも死んでいるとも分からない虚な器となった沈清秋に、洛冰河は苛立ちを募らせる一方だった。

     あの高貴で傲慢な沈清秋をここまで堕としたのだ。復讐を遂げた爽快感は確かにあったはずなのに、求めていた満足感は得られていない。その理由を探すたび、洛冰河の脳内に幼い、まだ純粋だった頃の己の姿がちらついて苛立ちが増した。
     (弱かった愚かな自分はあの時沈清秋に無間深淵突き落とされて死んだのだ。今の俺に手に入らないものなど、無い)

     洛冰河は二度目の舌打ちとともに掴んでいた頭を乱暴に投げ捨てた。
     鈍い音が聞こえ、呻き声が途絶える。
     床に転がった沈清秋を一瞥すると、洛冰河は踵を返して地下牢を出て行った。

     *******
     
     肌寒さに身震いして、沈清秋は目を覚ました。
     刺すように冷たい風が頭を撫でる。
     (……)
     おかしい。自分は洛冰河に捕らえられて以来ずっと地下牢にいたはずだ。地下深いそこは風が入り込んでくるような場所では無い。
     沈清秋が顔を上げて辺りを見回すと、どうやら、古い家屋の一室のようだった。
     先ほどから吹きつけてくる風は、板が古びて締まりきらない扉から入ってきている。
     (!?どういうことだ?)
     辺りを見回しているうちに、沈清秋は場所が地下牢では無いこと以上に、驚くべきことがあることに気がついた。
     無くなったはずの手足がついているのだ。それだけでは無い。半分しかない視界に映った手足は幼い少年のものだった。姿見がないため正確には分からないが、おそらく13、4歳ぐらいだろう。
     だが誰かの体を奪舎した覚えはない。沈清秋が混乱していると、ガラガラ、と扉が開いて少年が一人入ってきた。
     反射的に後ずさった沈清秋を見て、少年は手に持っていた茶碗を側に置くと、沈清秋の側まで近づいてひざまづく。
    「目が覚めたのですね。怖がらないで下さい、貴方を害するようなことはしません。」
     少年は沈清秋が怯えていると思ったのか、気遣うように話しかけた。だが、その言葉は半分も沈清秋の耳に入っていなかった。何故なら、その声、そして顔には嫌というほど見覚えがあったのだ。
     入門してきた頃よりも幾分か幼いが、見紛うはずもない。
     (洛、冰河――!)
    「ぅ…あぁぁ……!」
     私に近づくな!と叫ぼうとして、沈清秋は口を押さえた。言葉を発しようとしてもただ呻き声しか出てこない。手足と同様、舌もついていたが、どうにも上手く言葉を発することが出来なかった。
     その様子に洛冰河は一瞬戸惑ったものの、先ほど側に置いた茶碗を沈清秋に差し出した。茶碗の中には雑穀で作っただろう、汁気が多い粥が入っていた。
     「言葉が話せないのですね。今まで辛かったでしょう。家の前で気を失っていたところを母上が見つけたのです。こちらを食べて、動けるようになったら母上に会いに行きましょう。」
     「……。」
     沈清秋は粥を睨みながら脳内で状況を整理する。信じ難いことに、ここはまだ幼い頃の洛冰河の家で、詰まるところどういう訳か自分は次元を超えて過去を遡ったらしい。入門時に洛冰河が養母を誇らしげに語っていたことを思い出し気分が暗くなった。
     沈清秋が動かないのを見て、洛冰河は困ったように沈清秋の顔と粥を交互にみやってから一口だけ粥を自分の口に運んだ。
    「その、安心してください、毒は入っていません。お腹が空いたでしょう。」
     本来であれば、辟穀を完了した沈清秋が空腹を覚えることはない。だが今の沈清秋の体は少しばかり霊力があるものの貧弱で、食べ物を見た瞬間飢えで腹が鳴りそうになった。
     当然ながらこの時期の洛冰河は沈清秋を知らない。そもそも今自分の姿が「沈清秋」なのかも分からないのだ。ならば、訳もわからないまま飢えて死ぬよりは今は施しを受けて様子を見よう、と沈清秋は手を差し出した。
     ゆっくりと粥を食べはじめた沈清秋をみて、洛冰河は安心したかのように少し笑った。
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