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    ともとし

    二次創作のカップリング絵とか。
    成人向け多めなので18歳未満の方は閲覧するのを絶対にやめてください。
    ぴくしぶ→https://www.pixiv.net/users/1109697

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    ともとし

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    「英雄の墜とし方(冒頭)」
    ※長文なので二回に分けます。

    覚醒して「久々によく眠れた」と一言を言いたかったが、妙な違和感を覚える。

    ダイマ・ゴードウィンはここ数日間ほど多忙を極めていた。なんせ多方面の異星人から地球が狙われている由々しき事態。地球連邦軍独立部隊・T3への支援にダイマも携わっている。しかし、世界経済をリードしている存在でもあった彼は「地球防衛」と「会社の経営運用」、T3に参加している自社の一大プロジェクトの経過報告も抱えており、この数週間は一日の勤務があまりにも濃厚すぎていた。プライベートでは「それなりに遊んでいた」だけあって、構って貰えなくなった数人の愛人からはメッセージを切られていたり、別れを告げられてしまうなどあるが、ダイマ本人からしてみれば『つまらない女』の一言で片付けられる件である。それだけ彼は、今が働き盛りの瞬間なのだろう。
    その多忙さに拍車をかけるかのように、「火星の継承者」が動き出した。ボソンジャンプを完成に近づけている様子を見せつけるような奇襲を受け、ダイマの親友であり連邦軍議会議員のエイム・プレズバンドは「UND」の存在を公表することを踏み切った。後にT3は火星の継承者に勝利し、それに合わせて世界へ向け公表した。これが彼らを更なる多忙となる決め手となった。
    エイムの率いる「暁の会」は議会での発言力が強くなり、その影響からだろうか……親友の間柄でT3を支援しつづけているVTXユニオン社長のダイマに、反プレズバンド派から嫌味やら重箱の隅をつつくような下らない揚げ足取りなどを受けていた。ように議会でエイムに直接言えない事を陰でダイマは受けていた。ダイマ自身はそんな些細なことは気にしてはいない、さらに言うなら「今日も雀が可愛らしく鳴いているな」程度に扱っており、そんな言葉をひとつも耳に入れてはいない。つまらない政治家の愚痴なんか相手にするだけ無駄だからだ。しかし、心配性の重役や副社長は過敏に反応しているらしく、その都度助言をしにやってくる……これがダイマにとって「無駄な労力の浪費」に繋がり、疲労がたまっていったのだ。
    ただでさえ社外は愚か、社内にも自分に反発する輩が多い上に弱腰の上層部になど構っている余裕などない。だがその心中とは反して指示通り動ける人間らの動きが鈍くなり、その鈍った分をダイマは補う形になった。表向きは余裕のある紳士を気取ってはいたものの、さすがに疲労の色が見えてきたのか秘書にもその事を指摘されてると「弱腰の重役らさえいなければ余裕だったのだがな。」と珍しく愚痴を零してしまう始末。心身ともども疲弊しきっていた。

    そんな後日、ようやく半日ほど余裕がある時間が生まれた。相変わらずの多忙ではあったが、ダイマはそれに付き合ってくれた秘書に半休を出して休ませることにすると、自分は数時間後に来訪してくるであろうエイムとの会談に備えて仮眠を取ることにした。VTX本社には仮眠室はあるものの、それは夜間勤務をしている整備課や技術課の社員のために設けたものだから社長の自分が行くわけには行かない。応接間だって、この後にエイムが来るわけだから使えない。さてどうしたものか、とふと思いついた。副社長室の応接間ならば使えなくもない。本人曰く、「来客のほとんどが社長にしか興味がない」のでこの十年間は全く使っていないと自虐的に笑っていたのを思い出した。仕事の邪魔をするわけではないのだから、別に構わないだろうと厚かましいこの上ない気分で足を運んだ。
    副社長室に訪れ、部屋の主人にその要望を話すと露骨にも嫌な顔をされたが「まぁ……少しの間なら」と許可を貰えた。それを聞いたダイマはすぐに応接間に入ろうとしたが、「先にブラックコーヒーを飲めば寝起きがとても良いですよ。」と吹き込まれ、そんなに良いのならば試してみるかと好奇心に誘われて淹れるよう頼んだ。その後は早いもので、入室してすぐにスタンドハンガーに自分の背広とチョッキ、ネクタイも手早く自分から剥がして引っ掛けた。軽めにストレッチをしていると副社長の女性秘書がコーヒーを持ってきてくれ、一気に飲めるようにぬるめにしてくれるなどの配慮をしてくれた事に礼をする。しかし、その秘書の顔が何やら沈んでいたことにダイマは気づいたが、それと同時に秘書はカップを下げるために早々に退室してしまった。気がかりではあったが、それよりもいよいよ睡魔が迫ってきたダイマは一時間ほど仮眠をしようとソファに横になり、気分良く微睡み眠りについた。
    この仮眠が自分にとって屈辱的なものになると気づくのは目を覚ました時だった。
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