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    ゆーや

    @mov_yuya

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    ゆーや

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    左右どちらとも取れる申し訳程度のCP要素。ご飯を幸せそうに食べる暁人くんとそれを幸せそうに見守るケケおじを眺めていたいモブ視点。

    ##暁K
    ##K暁

    幸せを提供する者 平日のファミレスは、その人そのものの有り様がよく見てとれる。
     もちろんそれは、騒がしくて慌ただしく給仕に追われる週末に比べたら圧倒的にゆとりが持てる、言ってしまえば暇だから。つい客を観察をしてぼんやり人物像を描き時間を潰しているに過ぎない。
     主婦達の優雅なランチタイムから学校帰りの学生らで多少賑わいはしても、夜遅くとなると独身者の定食屋じみてしまう。その殆どが黙って食事を済ませたら早々に帰ってしまうから、こちらとしてはありがたくもあるが手持ち無沙汰になってしまい、そうでもしていなければただ時間が早く進む事を祈るしかなくなるのだ。
     その窮地を救う、最近ちらほらと来店するようになった男性二人組。歳の差から最初は親子かと思えど、ちょっとした声の掛け方ややり取りとしては上司と部下か、しかしそれにしては雑でもっと気さくな先輩後輩のように見える。或いは仲の良い叔父さんと甥っ子か。
     来店する時間帯は大体が深夜帯、どちらもくたびれたような表情(そしてお揃いのやや薄汚れた格好で来るものだから店長はあまりいい顔をしない)なものだから、夜の何かしらの仕事終わりに立ち寄るのだろう。稀に昼間にも現れるが、その時こそはこざっぱりとした別々の服装だからこちらは現場入り前のミーティングのようだ。
     あまり大きな声で言えたものではないが、二人のテーブルに近づく際には耳をそばだてるようにしていた。それだけ二人が気になっているのだから仕方あるまい。くたびれるほどの仕事とはなんなのか、そもそもどういう職業なのか、いやなによりもどういった関係なのか。
     しかしながら明瞭に聞き取れるほどの距離となると途端に声を顰めるか、差し障りのない雑談に切り替えられてしまい未だ核心を掴むに至らない。それだけ後ろめたい事なのか、と思えど二人に緊迫めいた雰囲気は見て取れず、むしろ周囲に配慮する気遣いのように思えたので、最近は探るようなことはしていない。
     謎めいた二人組ではあるが、リラックスしてひと時を過ごしたいのだという考えに至ったのだ。ならばそのひと時を所詮一介のバイトたる己が邪魔するわけにはいくまいて。
     それに、

    「おい暁人、まだ決まんねえのか」
    「うーん、このピラフ美味しかったからもう一度リピート…けどまだ食べてない料理も攻めなきゃ制覇が遠のくし…」

     当店、メニューの豊富さも売りなのである。おかげで覚えるのが大変だったなあ。
     いやそうではない。

    「うん決めた。ピラフとラザニア、両方で!」

     このアキトと呼ばれた若者。好青年に見えてなかなかに食いしん坊さんなのだ。
     今日はまた酷く疲れ切った顔で来店したと思えば、メニューを眺めてる間にみるみる瞳を輝かせてしまうほど。ご注文通りほかほか料理を目の前に並べてしまえば、それはもうとびきりの満面顔を披露してくれるものだから、最近では彼の元に料理を運ぶことが楽しみになってしまっている。
     それと相対して。向かいに座る中年男性の方は、若者がメニューを読み上げるごとに酷くげんなりした顔を見せる。この年代には厳しいものがある、それなりに味が濃くボリューミーなラインナップであることを知ってしまっているのだから無理もない。
     それでも、料理を目の前にしご満悦の若者を前にすれば。それまで強張っていた表情を途端に綻ばせてしまうものだから、当初こそ怖そうな印象だったがそんなものとうに融解してしまった。きっとこれが彼本来の人柄なのだろう。
     疲れて不機嫌そうな顔でやってきて、目の前に並べられていく料理に酷くげんなりした顔をさせるものの、それを心底美味しそうに頬張る若者を眺めるうちにみるみる穏やかな表情へと移り行き、食事を終え連れ立って店を出る頃には「ご馳走さん」と店員に声すら掛ける事もあるのだ。
     きっとそれは、このアキトくんの前だからこそなのだろう。幸せそうに食事するこの若者を前にしている時、この人の目はそれはもう穏やかで優しい目をしている。慈しみ、愛しいとさえ思う、そんな目だ。当のアキトくんもそれに気づいているのか、時折照れたように笑い返していたりする。
     ここまで来るともう、とても上司部下でも先輩後輩でもましてや親戚関係でもないという事は流石に気づいている。だが今となってはそれがなんだというのだ。疲れ切って来店したお客様が、幸せなひと時を過ごされている。彼等の様子に我々すら癒しを得ているのだ。もはや彼等の来店を心待ちにせずにはいられまい。

    「ご馳走様でした!」「ご馳走さん」

     今夜もまた、疲れの薄れた彼等を見送るこの心の穏やかさを何と言えようか。


     そういえば。
     この二人組、昼間店に来る時、夜仕事終わり店に来ては出ていく時。そのどちらも、所謂ホテル街の方角なのだが。





     …まあ、深くは考えまい。
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