幸せを提供する者 平日のファミレスは、その人そのものの有り様がよく見てとれる。
もちろんそれは、騒がしくて慌ただしく給仕に追われる週末に比べたら圧倒的にゆとりが持てる、言ってしまえば暇だから。つい客を観察をしてぼんやり人物像を描き時間を潰しているに過ぎない。
主婦達の優雅なランチタイムから学校帰りの学生らで多少賑わいはしても、夜遅くとなると独身者の定食屋じみてしまう。その殆どが黙って食事を済ませたら早々に帰ってしまうから、こちらとしてはありがたくもあるが手持ち無沙汰になってしまい、そうでもしていなければただ時間が早く進む事を祈るしかなくなるのだ。
その窮地を救う、最近ちらほらと来店するようになった男性二人組。歳の差から最初は親子かと思えど、ちょっとした声の掛け方ややり取りとしては上司と部下か、しかしそれにしては雑でもっと気さくな先輩後輩のように見える。或いは仲の良い叔父さんと甥っ子か。
1991