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    フスベの風習でワが女装してる世界線のダイワタ

    ダワ因習捏造幼きワタルがフスベの風習により女装させられていた世界線。(男の子は身体が弱く長生きできなかった。魔除けのために女装させ、神様に連れてかれないようにしていた風習。七五三となる七歳くらいまでやらされていた)

    当時成長遅めで同年代のダイゴより小柄でお人形さんみたいに少女用の着物、おかっぱ姿で可愛がられてたら、ワタルの唯一人に言いたくない過去の一つになり得るかもしれない。バレたら家の方針でと動揺なく答えるけどあまり知られたくはない過去である。



    ダイゴとワタルは友人関係、正体も知らず、女装してる幼いワタルがダイゴの初恋相手であった。ダイゴが偶然ツワブキ家のアルバムで当時の写真を見付けて記憶の少女がフスベの子だと知る。
    仕事の出張先で偶然会ったイブキに姉妹か、もしくは親戚かと特徴を話すとその子がワタルだと察するイブキ。ワタルが当時のことを人に知られたくないことを知っているけど嘘も付けられず答えに窮してワタルに聞いてと逃げるイブキ。ワタルと会う予定があったのでそうすることにするが、何故わざわざ彼に聞くのだろうと首を傾げる。彼に姉妹はいないと聞いていたが、もしかして婚約者なのかもしれない、そう思い浮かべば少し胸が痛み出した。初恋と言っても当時のことなど大して気にしてなかったのに。ワタルに婚約者がいることに驚いたのかもしれない。それだと逆に原因が遠ざかる気がして益々思考が散らかっていた。



    幼いワタルは風習なんて理解出来ず自認は男なのに女装されてること、他の子との違いに気付き始めて嫌気が刺していた。やめたいと訴えても決まりだからと取り合ってもらえず、むしろ我儘言うなと叱責すらされていた。
    あの日もツワブキ含む有力者がフスベへ集まる中、この綺麗な少女の着物姿で挨拶したくなくて逃げ出した時のことだった。人を避け向かった先は大事な会合だからと不在になっていたポケモンジム、傍にはりゅうのあなを湖を隔てて目を輝かせて覗いてるダイゴが一人。ダイゴは甘やかされて育ち、初めて来るフスベに胸を躍らせムクゲを巻いて探検していた最中だった。使用人の追っ手から逃れたいワタルは隠れる場としても都合も良いからと何の気なしに「そんなに気になるなら連れてってあげようか?」と声をかけるとこれはまた一段と綺麗な目を開き、「良いの」と嬉しそうにダイゴは笑った。
    湖に住在するにフスベのラプラスに乗れてもらいりゅうのあなへ行く二人。自己紹介するダイゴだが、ワタルは名前を名乗ると性別に驚く大人の顔を幼いながら傷付いていたため返事をはぐらかした。ダイゴはそれを少し不思議に思ったが特に気にせず、洞窟に気持ちは引き寄せられていた。大人と同伴で来たことがあるワタルの案内でどんどん洞窟の下層へと進みダイゴは少し怯んでしまう。
    「後で怒られないかな」
    「意外と怖がりなんだ」
    「…そんなことないよ」
    ムッとして言い返すダイゴにクスクス笑うワタル。小柄で自分より歳下だろうに怯えることなく勇敢にも暗い洞窟へと進む少女にダイゴは興味を引かれていた。洞窟の開けた空間に着くと「スゴイ!」と笑うダイゴ、りゅうのあなはフスベ所有の地であり、一般的な立ち入りは禁じられている。絵や話でしか聞いたことのない鉱石があるらしく、実物は初めて見ると少ない知識で石を語り、普通の岩と違いの分からないワタルはうんうんと話を聞いた。今まで当たり前のようにあった家の土地を褒められ、好きに来れることが羨ましいと言うダイゴに悪い気はしなかった。持って帰るのは子供ながら駄目だろうと諦め観察に徹していたが一頻り満足するとダイゴはお礼とともに握手を求めた。最近親の都合で堅苦しい場に出かけてばかりだったから凄く楽しい、ありがとうと。
    本家の子供だから怪我でもさせたら大変だと近所の子供からは遊ぶこと避けられていたワタルにとって、事情を何も知らずに憶せず友達のように接してくれたダイゴの態度が嬉しくて涙を堪えながら震える手で握手に応えるワタル。ダイゴは良家の大人しい女の子と違って怖がることなく洞窟に連れてきてくれて楽しそうに話を聞いてくれる少女が、自分より小柄な女の子なのに強かで格好良い子だと思っていたのに、何故か泣きそうなって、でも嬉しそうに握り返す小さな手がか弱く、そのギャップに恋に落ちてしまう。初めての気持ちにドキドキしている時間も長くは持たず、りゅうのあなに住むレベルの高いカイリューに遭遇してしまい慌てて外へ逃げ出す二人。ドクドクと脈打つ心臓はこの町の誰よりも早い自信があった。
    ポケモンは巻けたが出口付近で一安心したワタルが着物のせいもあり小さな石で転んでしまう。女装の上、成長が人より遅かったワタルは手を差し出すダイゴが自由で格好良くて家に雁字搦めの情けない自分との差を感じて嫌になってくる。その上、洞窟を出て本家に戻ればまた好機の目に晒される、子供ながらに畳み掛けてくる重圧に思わず弱音を吐露してしまう。
    「力も無いし、足も遅いし…この格好も変だし……ダイゴみたいに外に行きたい」
    「僕より小さいから当たり前だよ。……それに、すごくかわいいのに」
    「嬉しくない」
    女の子と思ってるダイゴは可愛いと褒めても喜ばない少女は初めてで戸惑ってしまう。転んでしまったし地べたに座って落ち着くまで話すことにした。
    「でもドラゴンタイプ好きなんでしょ?」
    「……うん」
    「離れても良いの?」
    「…嫌だ」
    「なら良いじゃん。ポケモンと一緒ならどこでも行けるし自由だってパパが言ってたよ」
    「そうなのかな?」
    「どこにいるかよりも誰と何をしたかとか何とか。……それでも出たかったら僕のお嫁さんになったら良いよ。そしたら引っ越せるよ」
    「……うん」
    彼の優しさからの発案なのは分かっている、嬉しいのに素直に喜べなかった。女だと思っているから言ってくれたのに、今更男だと言ったら騙していたと思われそうだ。嫌われたくない思いが勝ってしまい、曖昧にワタルは笑うこてしかできなかった。その気持ちも知らずにダイゴは了承してくれたのかと受け取り、嬉しそうに話を続けた。
    「もう少し大きくになったらそらをとぶも使って良いし、そしたら僕の所に来なよ」
    「どんな所?」
    「海が綺麗だよ」
    「写真でしか見たことない」
    「そうなの?スゴイよ!いっぱいポケモンがいて」
    そうこう楽しく話していると遠くから自分の名前を呼ぶ声がした。湖越しに見えるポケモンジムの傍に父がいることに気付いたダイゴはりゅうのあなから出て手を振った。父の怒声に怒られることを思い出したが見付かった手前もう逃げられなかった。二人で姿を消したことで大騒ぎになった上、子供だけで洞窟へ入ったことで散々叱られることになった。だがその騒ぎに乗じて連れ帰され、あの少女と別れの挨拶もまともに出来なかった。名前すら知らずに記憶の中へと消えてしまうひと時だった。



    「…なんてことがあったんだけど、誰か分かる?」
    少女との概要を一通り話し終えると宙に浮いていたダイゴの視線は再びワタルへと戻った。
    「……そうだな」
    居たたまれずワタルは視線を外した。外見の特徴だけ聞けば良かったと数分前のことを酷く後悔しながら。彼は悪くない。思い出話を促したのは自分だ。興味本位で当時唯一思い出を共有した少年の視点で話を聞いてみたかった。異性の格好をするという一般的ではない風習だったが、歳も重ねれば整理もつく。だから話を聞いたらそれは自分だったと今なら打ち明けても良いとも思ったが、初恋だったと面と向かって言われたら酷く言い辛い。罪悪感は勿論ある、風習を説明する煩わしさが無い訳ではない。だがそれよりも当時の好意を今の彼を通じて伝えられるのが気恥ずかしくてならない。考えるフリをして腕を組むが、どうも決断がつかない。口を閉ざすワタルに今度はダイゴの表情が曇りだした。イブキには心当たりがあるようだったが聞くべきじゃなかったかもしれない。姉妹や親戚と言っても隠し子の類だったら藪蛇だろう。
    「言えない相手?無理に言わなくても良いけど」
    「いや…そういう訳ではないが」
    「……てっきり君の婚約者と思ったけど」
    「はは、そんなのじゃない」
    「…そっか。良かった」
    過去の自分が自分の婚約者だと思われるなんて滑稽だと思わずワタルは笑ってしまう。
    「………良かった、?」
    それよりも意外な反応に、ダイゴの言葉を小さく繰り返してしまう。
    「まだ好きなのか?」
    二十年近く前なのに聞かずにはいられなかった。しかし、質問の意図を掴めないダイゴは不思議そうに首を傾げた。
    「何が?」
    「昔会った子のことだ」
    「まさか。名前も覚えてないのに」
    「なら何で…、」
    そこまで口にして言葉を切った。今度は最後まで聞かずともダイゴは応えた。
    「確かに何でだろう。君に婚約者がいなくて良かった」
    少し照れたように笑うダイゴの真意が全く掴めない。りゅうのあなを全速力で駆け抜けたあの日より、初恋だったと打ち明けられた数分前なぞ比にならないほどワタルの心臓は早かった。



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