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    【ノンカプ】永遠と不変を夢見るふたごのはなし(モブあり/捏造多め/全体的に暗くて不穏かつメリバ気味なので本当に大丈夫な方のみ…)

    「いやしかし驚きましたねえ…まさか地下に倉庫があって、そこに設計図があるなんて」
    暗い廊下で隣を歩いていた職人の言葉に、「そうだね」と短くクラークは答える。先ほどクラークたちに目当ての物の発見を告げた若い職人は、ふたりのずいぶん先を行っていた。
    「すっかり遅くなってしまって…。もうすぐ日付も変わりますね。お城の方は大丈夫ですか?」
    「大丈夫。きっと遅くなるし先に寝ててって伝えてあるから」
    そうですか、と職人は自分事のように顔を綻ばせる。自分も含めて不愛想な人間が多い職人の世界では、珍しく柔和な人物だった。
    彼を見ているとクラークは、つい兄を思い出す。いつも柔らかなベールを纏うようにふるまう兄を思うだけで、自然と肩の力が抜けた。

    もうとっくに廃された発電所の廊下はひどく暗く、冬の冷気が漂う空間には、錆や黴が入り混じったような不快な匂いがする。その廊下で、不意にクラークは足を止めた。
    決して綺麗とは言えない建物内で、軽やかかつ煌びやかな、何かの気配のようなものを感じた気がして。
    「…クラーク様?」
    「先行ってていいよ。外にみんないるでしょ。帰っててって伝えて」
    えっ、と戸惑う職人に早く帰るよう再度促してから、クラークはその残滓を追う。壊れた窓の向こうに月明りが無ければ何も見えないであろう建物内は決して動きやすくはなかったが、それでも資料を探して一日中うろついていたから間取りは頭に入っている。
    元々は食堂だったという場所から、その気配はした。
    (…時計?)
    ぐるりとクラークは、その空間を見渡して首を傾げた。これほどの大きな時計、事前調査で報告されていだろうか。元々は机や椅子が並んでいたであろう広い空間の中央にどんと大きな柱時計があるさまは、どう考えても不自然だった。埃と蜘蛛の巣にまみれたそれから、ぬくもりに似た何かが感じられることも。
    (…時刻はあってる。だとしたら、動いているっていうこと?)
    手元の懐中時計と柱時計の針の位置を見比べて、まじまじとその柱時計を見つめる。ちょうど十二時。けれど、ぜんまいを入れるであろう穴には黒ずんだほこりが詰まっていて、ここ最近ねじを巻いた形跡は見えない。念のためと顔を寄せて耳をすませたが、何の音もしなかった。
    たまたま手元の時計に時間があっていただけだろうか、と思いながら顔を引き離し文字盤をじっと見た。このまま一分ほど待って針が動かなければ、それが結論になる。
    果たしてその時計は、それから十数秒ののちに動き出した。ただし、クラークが想像していた方向とは、逆に。
    (え?今、ひだり、に)
    思考はそこまでだった。
    月明りも、決して良いとは言えない匂いも、ひんやりとしたその場の冷気もすべてがなくなって、ふつりと意識が途絶えた。



    「――…クラ。起きて。もう朝だよ」
    「…?」
    冷たくて汚くて暗い場所から急激に引き上げられて、クラークは目を瞬かせる。まだ少し寝ぐせが揺れるピンク色の髪の隙間からライラック色の瞳をのぞかせた兄は、「何か夢でも見ていたの」と笑う。
    (…夢?)
    それにしては酷く輪郭がくっきりしていたな、とクラークは身体を起こしながら思う。
    「珍しくぼーっとしてるねえ」
    くすくすと兄は笑う。
    「今日は旧発電所に行くんでしょう?そんなにふわふわしてたら、職人さんたちに笑われてしまうよ」
    「えっ?」
    「?」
    思わず大きな声を出せば、兄はきょとんとこちらを見返す。
    「え?今日だったよね?旧発電所の調査…」
    「いや…それは昨日――」
    クラってば、とルタールは弟の言葉を遮って笑う。
    「まだ寝ぼけてるの?昨日はミュンナの国で会議だったでしょう?」
    クラークはぽかんと、笑うルタールを見つめた。会議へ行ったのは、一昨日のはずだった。
    「…待って。今日って何月何日…?」
    「一月十七日だよ?ねえ、本当に大丈夫?」
    眉根を寄せる兄に、大丈夫だと根拠なく答えて、クラークはぐるりと寝室を眺めた。しばらく模様替えをしていないその部屋からは、何も読み取れはしない。
    (一日、ずれてる)
    シンプルに考えるなら、過ごしていたと思っていた昨日はすべて夢だったということなんだろう、と彼は思う。けれど夢と表すにはその記憶は酷く間延びしていたし、匂いや音、湿度まですべてが生々しかった。実際、一日中資料を探して動いていた身体は少し重たい気がする。
    「調子が大丈夫なら朝ごはん作るよ?今日はフレンチトーストとコーンスープにしようと思ってるんだけれど」
    部屋を出ながら歌うように言うルタールの言葉に、クラークは一瞬止まる。それは彼の記憶の中の昨日の朝食と、まるきり同じだったから。
    (…正夢。予知夢。デジャヴ)
    どの言葉もしっくり来ず、それでも始まりだした日常を追うように寝室を出た。



    「――とりあえずは建物の設計図と回路図を探すのが良いのかなと思うんですよ。完全に取り壊しならともかく、設計図なしでの改修計画は流石に無理なんで。崩れてる部屋もあるし」
    ぶっきらぼうな言い方で物を話す職人の説明を聞いて、クラークは静かに頷いた。昨日聞いたことと、寸分の違いもない言い回しだった。
    「資料をまとめてる場所がこの建物内のどこかにあることは、間違いないと思うんで。一階から五階までで手分けして…」
    言いかけた職人を「待って」とクラークが遮る。
    「…地下室から探そう」
    「は?」
    地下室、と彼は事前調査の資料をめくる。
    「そんな場所どこにも…」
    「裏庭の井戸から入れる…と思う。隠し扉があるはずなんだ。鍵はかかってるけど、たぶん簡単に開錠できる」
    職人は目をぱちくりとさせる。
    「…それは”星の力”ってやつですか」
    クラークはためらってから、小さく頷いた。この国においては夢で見た、というよりはずっと信ぴょう性があるだろう。
    現実主義の職人の中には、星の導きを好まない存在が多々いることは知っている。分厚い事前調査資料にかけられた時間と労力を考えると、星詠みなんて(少なくとも彼らからの視点では)どこか小ずるいものに思えるだろう。
    それでも職人は納得しきれない顔をどうにか封じ込めて「分かりました」と了承した。
    「一応、見てみましょう。何人か呼んできます」
    うん、とクラークは答えて彼を見送ったのち、空を見た。雲の形が昨日と同じかどうかは、判断できなかった。


    「――いやまさか地下室があるなんて」
    「今日は日付が変わっても帰れないと思ってたんですよ」
    午前中の早い時間に必要な資料をすべてそろえられた職人たちは、声を弾ませる。
    「さすがですね、クラーク様」
    「いや…」
    職人が抱える設計図の入ったファイルは、昨日と同じくすんだえんじ色をしている。不思議な気持ちのままそれを見て、ふとクラークは食堂に鎮座していた柱時計を思い出した。
    「…先、帰ってていいよ。少し中を見てくる」
    「中、ですか?」
    うん、と答えてから歩みを進める前に分厚い調査資料を手に取る。食堂部分を開くが、そこに柱時計の表記は無かった。
    (…ふうん)
    何かが起きているのは、確かだった。シーズとも違う何かが。
    (でも嫌な気がしないのは、なんでなんだろう)
    不穏なことが起こっているのは分かるけれど、気持ち悪くはない。むしろどこか、ほっとするような。
    昨日と同じ匂いがする建物内は、けれどまだ太陽の日差しがあるぶん明るくて少しだけ温かかった。
    そして例の柱時計は、そこにいた。時刻はぴったり手元の懐中時計と同じ場所を示していて、少し待てば昨日とは違い右回りに針が進む。
    少し思案してからクラークは、腰袋から工具を取り出した。古布で汚れを拭いながら、慎重に文字盤の奥を探っていく。

    「クラーク様」
    「わっ」
    どれぐらいたったのか、不意に声を掛けられて、クラークはびくりと身体を震わせる。
    「…何。帰ってていいって言ったのに」
    声をかけてきたのは、昨夜一緒に廊下を歩いた柔和な職人だった。
    「いえあのお昼ごはんを…。あ、もう職人も八割がた帰ってます。俺らは地下室をもう少し調べようと思って」
    あぁ、と頷く。ありがとうと言いながら、昨日と同じサンドイッチの入った紙箱を受け取った。
    職人は不思議そうに、クラークを見る。
    「…ところで、何をしているんです?」
    「ちょっと…この時計が気になって」
    時計、と職人は鸚鵡返しに答える。ぱっと見はただ古ぼけただけの時計に興味を持った理由をどう説明しようかとクラークが思っていると、職人はきょときょとと周りを見回して、それから不安そうに口を開いた。
    「…時計っていうのは、何のことを言ってるんです?」
    「は?」
    何って、とクラークが目の前の柱時計を示せば、ますます彼は困惑した表情を浮かべる。
    「…何もないですけど…。あの、からかってらっしゃいます?」
    言ってから彼は、クラーク様に限ってそんなことはないと思うんですけど、と慌てて言葉を付け加える。それから恐る恐るといった風に時計がある場所へ近づき、そっと周りをなでた。
    「――…魔力が強いと分かるとか、そういうことですか?」
    「…?」
    クラークの目には、彼がずしりとした柱時計に、つぷりと手を差し込んだように見える。迷ってから自分の手で柱時計に触れれば、固く、けれどどこか温かな何かを感じる。
    「…何も見えない?」
    「はい。あの何も…」
    へえ、とクラークは改めて柱時計を見つめた。だいぶほこりを拭ったそれは、確かな存在感を放ちながらそこにある、ように思える。
    「…あの…」
    「気にしなくていいよ。たぶん、ちょっと変わったものなんだと思う」
    曖昧な言葉で濁してから、ごはんありがとうと改めて伝えてその場を収束させる。不安げに職人がその場を離れたのを確認してから、もう一度その柱時計を見つめた。時計は何かを肯定するように、針を右にわずかに倒した。


    ただいま、と入口で声を掛ければ兄が軽やかな足音とともにすぐに出迎えてくれる。
    「おかえり、早かったねえ」
    もしかしたら日付をまたいでしまうかもって言ってたから、と兄は楽しそうに笑った。設計図がすぐに見つかったんだ、と伝えると兄は良かったねと喜んでくれる。
    「夜ごはん一緒に食べられそうで、うれしい」
    「うん。僕も」
    結局、あの時計に何ら変わったところは見つからなかった。全体的に古ぼけてはいたが、中の歯車もきちんと嚙み合っていたし破損している部分もなかった。
    「ちょっとほこりっぽいから、先にお風呂に入ってくるね」
    「うん。あ、洗濯物置いておいてね」
    「分かった、ありがとう」
    ルタールと柔らかな会話を交わしながら、クラークは大丈夫だという気持ちが広がってくるのを感じる。だってこんな会話は昨日はしなかった。昨日この時間には、まだ地下室を発見できずにいたのだから。
    (明日の朝、日付が変わっていたらルタに話そう。こんな珍しい体験をしたよって)
    主に話すのもいいな、とクラークは思う。好奇心旺盛な愛しい主が目を輝かせるのを想像して、ふっと口元を緩めた。



    ゆっくりお風呂に浸かって美味しいごはんを食べて、ふかふかのベッドで寝て。
    それですべてが解決するはずだった。
    「――…クラ。起きて。もう朝だよ」
    「うん…」
    「今日は旧発電所に行くんでしょう?そんなにふわふわしてたら、職人さんたちに笑われてしまうよ」
    「えっ…」
    どうしたの、と兄は笑う。
    「今日じゃなかったっけ?旧発電所の調査…」
    「――いや…うん」
    そうだね、とクラークは答えてそっと寝室を見る。
    (何か目印でもつけておけばよかったな…)
    昨日見回したときと何ら変わらないように見える寝室にいる兄は、昨日と、そして一昨日と同じような寝ぐせを少しだけ残していて。
    「朝ごはん食べる?今日はフレンチトーストとコーンスープにしようと思ってるんだけれど」
    兄の言葉にどうしていいか分からないまま、ただ頷いた。


    あれからどのぐらい同じことを繰り返したのか。毎日兄に起こされて、同じものを食べて、同じ場所に行く。設計図はいつだって井戸の下にある地下室で見つかるし、昼食はパンの角度まで変わらない。クラークが言葉や行動を変えれば、少しだけ変わるものもあるけれど、何も変えなければ何も変わらずそのままだ。
    思い立って寝室に置いている小物の位置を少し変えたりもしているが、朝になるとすべてが元の通りに戻っている。
    それならばと日付が変わるまで起きているのだが、夜の十二時を回るとどんな時計も左に針をごとりと動かし、その瞬間にすべてがブラックアウトしてしまう。
    (なんだろうこれは……)
    迷った末にその日は、旧発電所に行かないことに決めた。職人たちに設計図のありかだけを伝えて、クラークは美しい空色で染まった王国へと足を運んだ。
    「…つまりはループしているってこと?」
    「分からないけど…」
    もう、自分がおかしいのか世界がおかしいのかを判断する材料はない。正直目の前に座る騎士――シエロモートに頼るのは気が進まなかったが、青の大陸のことをすべて知っていると豪語するからには何かが分かるのではないかと思って来たのだ。
    「――得意の占いでは、見てみた?」
    「見た。けど、何もおかしな予兆はなかったし、星もいつも通りだった」
    「ルタールには聞いたの?」
    「…それが」
    それは一番に考えた。心配をかけることになるのは分かってるので気は進まなかったが、結局のところ一番頼れるのは強大な魔力と星詠みの力を持つ兄なのだ。けれど。
    「ルタにそのことを話そうとすると、毎回何かが起こる。急にルタが体調を崩して倒れたり、誰かが何らかのトラブルを持ち込んだり。…まるで、僕がルタに相談するのを阻んでいるように」
    「ふうん」
    もこもこ素材のマントに包まれた彼は、目を細める。
    「――どうだろう、でもそれは直さなければいけないことなんだろうか」
    「は?」
    「君は繰り返しの毎日に飽きたから、時計をきちんと進めたいと思っているということ?」
    「…飽きたとかそういうんじゃ」
    「じゃあ何が問題なの?僕には、君たちの言う永遠と不変の世界にたどり着いただけに思えるけど」
    ぽかんとシエロモートに目をやれば、彼はどこか楽しそうに笑った。
    「心配しなくてもシーズも出現していないし、みんな幸せだ。青空もきれいだしね」
    それとも、と彼は首を傾げた。
    「君は、何かを変えたいの?」


    帰りがてらに旧発電所へ立ち寄れば、既に職人たちは帰宅した後だった。念のため井戸の近くへ足を運ぶと、草が踏まれた後があり、無事に設計図が見つけられたことが伺えた。
    (どうせ見つけても、明日また探すんだけど)
    ふらふらと旧発電所の食堂を目指す。もう手掛かりは、あの時計しかない。
    ――何が問題なの?
    シエロモートの言葉が、時計に付着していたほこりのように耳や首筋にずっと、貼りついている。場合によってはこの後、黒髪の彼やふわふわ髪の彼の国にも行こうかと思っていたが、そんな気力も、そして時間もどこにもなかった。どうせ数時間後には、また同じ朝が来る。
    (…でも、確かに問題はないのかもしれない)
    辛い一日ではなかった。機械いじりが好きな自分にとって古い発電所のあちこちを見るのは楽しかったし、朝ごはんも昼ごはんも、二日目以降ずっと兄と一緒に食べられている夜ごはんも美味しい。温かいお風呂があって、柔らかい布団があって、笑ってる兄がいる。シーズは現れないし、誰かが傷ついたり泣いたりすることも(少なくとも自分が見える範囲では)ない。もう何が起こるかは分かっているから怖いことなんて何ひとつもない。
    でも、と思いながらクラークは食堂へ足を踏み入れて、それから目を見開いた。
    「どうして…」
    ここまで毎日のように彼を出迎えていた柱時計は、そこから忽然と姿を消していた。



    どうして、という呟きはルタールの耳にも入っていた。
    「…ふふ、クラってばぼうっとしちゃって」
    ルタールは笑う。机の上に置かれた天球儀には、何もない空間で呆然と立ちすくむ弟の姿が映っていた。
    その横でため息を落としたのは、マフラーに顔をうずめた薄桃色の髪の人物だった。
    「いつまで続けるの?」
    「おかしなことを聞くね。もちろん、ずっとずっとだよ?」
    決まっているでしょう、という言葉にウィルメッシュは首を横に振った。
    「…そんなに、魔力は持たないでしょう?」
    「尽きたら尽きたときだよ」
    にべもなくルタールは言い、それから机に置いてあった古い柱時計のミニチュアに触れる。ウィルメッシュは不安げにルタールを見た。
    「クラークくんにも、巻き戻しの魔法をかけるの?」
    「うん」
    本当はね、とルタールは言う。
    「クラにかけるつもりはなかったんだけど」
    変わらない世界をふたりで楽しもうと思ったから。そう言いながら柱時計のミニチュアをなでた。何らかの金属でできたであろうそれはずしりと重くて、少し塗装が剥げている。つん、と文字盤の中央をつつけば、いとも簡単に針が落ちた。
    「でも今日、何も言わずひとりで国を出てしまったから」
    彼がひとりで出国することは、今まで数えるほどしかなく、それもすべてきちんと兄と主に報告をしてからだった。お風呂の時間が早まるぐらいのわずかな変化であれば許容できるが、弟が黙って出国したという変化は到底許しがたい、とルタールは思った。
    「設計図が見つからなくて一緒に夜ごはんが食べられないのはさみしいなと思ったんだけど、それは俺が朝伝えればいいことだって気付いたからね」
    だからこれで何の問題もないんだ、とルタールは楽しそうに笑って、それから部屋にいるもうひとりに目を向ける。白い髪の人物は、無言のまま天球儀を見ていた。
    「君たちが賛同してくれてうれしいよ」
    そう言いながらルタールが笑い声をこぼせば、ひとりは複雑そうに目をそらし、もうひとりは目を細めて笑う。
    天球儀を覗けば、とぼとぼと弟が旧発電所を出てくるところだった。きっともうすぐ城に戻ってくるだろう。
    「――じゃあ俺はそろそろ夜ごはんを作るから」
    またね、とふたりに声をかけ、キッチンへと向かう。優しい味のシチューと、ミュンナの国から昨日もらったパン。もう何日も繰り返し食べているそれらの味を思い出して、ルタールは満面の笑みを浮かべた。
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