泣いて笑って忙しい赤黒 付き合っていたって、知らないことはたくさんあるし、知りたいこともたくさんある、と思っている。
「赤司君って、泣くことあるんですか」
そんなふとした疑問に、彼は「どうだろう」と首を傾げて笑った。
記憶にあるのは、WCの決勝戦後に流した涙だ。汗と混ざってこぼれ落ちる、とても綺麗な涙だった。重ね合わせた手のひらは熱く、唇はわずかに震えていた。溢れ出す感情を抑えることが出来ない、そんな表情。あの時の興奮と高揚は一生忘れないだろう。
ただ、それとは別にして、あれ以来赤司が感情を剥き出しにして、泣いたり怒ったりしたところを見たことがない。恋人として付き合うようになってもなお、赤司は黒子の前ではずっと穏やかだった。
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