包む膜は優しさと「まんばちゃん……っもう……無理……」
「いや、まだ主なら出来るはずだ」
九月に入ったというのに、まだまだ暑い室内で私は限界を迎えていた。すぐ側に立って、私を見下ろしているのは初期刀のまんばちゃん。
「もう……もう、腕がプルプルしてる……」
「あと十秒だ。我慢するんだな」
「お、鬼だ……」
私が何をしているかというと、筋トレだ。『引き締めたい』なんて言ってしまったことをきっかけに、こうしてまんばちゃんが付き合ってくれている。大変、鬼コーチではあるが――。
「ほら、終了だ」
「あぁ……終わった……」
まんばちゃんからの終了の合図と共に、プランクで耐えていた腕の力がふっと抜ける。音を立てて崩れ落ち、起きる気力すらない。顔や首から止め処なく流れていく汗が、熱を持っているように感じる。
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