あなたは春と風淡い初恋というやつだ。
一生懸命何かに打ち込んでいる姿ってカッコいい。
クラスの男子が、ライブをするから見にきて欲しいとホームルームでみんなに言う。その時私は、軽音部なんてあったっけとか、はやく終わらせてくれないとバイトに遅刻するとか、そんなことを思っていた様な気がする。
チラシ貼っとくからよろしく!と明るい声と笑顔で言った男子は私が使っているのとは違う大きなリュックを背負って颯爽と走っていった。
「ライブだって!行く?」
友達が茶化すように声を掛けてくる。バイト行かなきゃと返事をした私に、「今日の話しじゃなくてライブの話し!次の日曜、狸小路だって!」と、さっきの男子が貼っていったチラシを指さして言う。
「わぁ、美園くんも出るみたいだよ!行こうよ!」
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