ん、どうしたんですか? ふかみん。…ふかみん?
学校もない、フェイムの練習もない、そんな平和な日曜の昼下がり。ふかみんのお家にお邪魔して、二人で何をするでもなくゆったりとした時間を過ごしていた。
唐突に感じた肩の重みに、その元凶であるふかみんに尋ねてみたものの、「ん」と小さく呟いたのか息を吐いただけなのかよく分からない声を出したのち何も言わず自身の首もとに顔を埋めてしまった。
「おつかれです? あ、おれ何か飲み物持ってきましょーか? それとも眠たいんでしたらおれの膝でもかしましょーか?」
ふざけた調子で声を掛けるも惨敗。より一層深く顔を伏せてしまった。
どうしたものかと困り果てていたが、一つ思い当たらないこともないことがある。ただ、この話はもう片のついた出来事ではあるし、10割り納得できていないことも事実ではあるがもう過ぎ去ってしまったこと。
今さらふかみんが気に病むことなんて、ないのに。
俺が気がついたのに、気がついたのか伏せていた顔を上げたふかみんはゆっくりとした動作で、その整った顏をこちらに向けてくれたかと思うと流れるような動作でそのままこちらに口づけを残した。
急な恋人からのスキンシップに上手く反応できずにいる間に、段々とこちらに侵食してくる柔い感触が余計に心を乱してくる。
「ふかみ、ん! いったんストップです! すとっぷ…」
抗議の声を上げるも全く聞く耳の持たない様子のふかみん。それでも少しも閉ざされることのない、宝石のような瞳に捕らわれてしまっては、端から皆無に等しい抵抗など起こす気もなくなってしまう。
どれほどの間、二人だけの静かな空間に湿った音を響かせていたか定かではないが、もう無理、と降参の声を上げようとした所でようやくふかみんが体を起こした。
「ごちそうさま、でした」
すっかり元気そうなふかみんに、結局何があったのかなんて聞くこともできない。まあ、それでもふかみんが元気になったんなら何も言うことなんて、何もない。
それよりも、
「ふかみん、おれは『おかわり』ほしーんですけど?」
「ふふ、じゃあ僕も」