隣との距離某チェーン店のコーヒーショップはドーナツ型のパンにソフトクリームが乗っているデザートが名物だ。
貞宗と市河は定期的に通ってはこれを半分こにするのが定番となっている。
久々に予定を合わせて訪問したが、貞宗はいつもので良いなとさっさと決めてボタンを押してしまう。
良いですけど、と市河は返事をしたが何かささくれが立つ事が増えてきた様な気がする。
たわいの無い会話をする回数が減ってきた。
メニューを一緒に見て期間限定の物について話したり、でも結局いつものを頼んでそれで笑って。
目の前の貞宗は週刊誌をパラパラと読んだかと思えば、立ち上がり今度は新聞紙を持って目の前に壁を作る。
近いのに、遠い。ねぇ貞宗さん。
最後に俺の目を見て会話してくれたのはいつだったかなぁ。
耳には周りの喧騒と新聞紙の捲られる音だけが聞こえた。